このブログはインスタライブの要約記事です。
こんにちは、ラベールミラクリニック院長の新井です。 日々のインスタライブでは、患者様から寄せられる様々な疑問にお答えしたり、美容医療に関する専門的なお話をさせていただいております。
今回のライブでは、ヒアルロン酸注入などの技術を学びたいと考えているドクターへ向けた「習得するための心得」と、美容医療に関する情報過多な時代における我々専門家の姿勢についてお話ししました。
後半では、事前にいただいていた「グロースファクター(成長因子)注入後の熱による膨張リスク」という専門的なご質問にもお答えしています。 ぜひ最後までご覧いただき、美容治療への理解を深める参考にしていただければ幸いです。
今回の記事でお伝えしていること・まとめ
- 注入治療を学ぶドクターの心得:過去の経験や知識に頼らず、全く新しいジャンルをゼロから学ぶ姿勢を持つことで、結果的に早く正しい技術を習得できる。
- 情報過多な時代の美容医療:日々増え続ける情報の中から、医学的に正しいものを取捨選択し、地道に検証を重ねていくことが専門家として重要である。
- グロースファクター注入後の熱による膨張リスク:成長因子は細胞増殖のコントロールが難しいため、熱刺激等で膨張する懸念はゼロではないが、一定期間が経過して細胞増殖が落ち着いていれば、レーザーなどの熱治療を行っても問題ないと考えているドクターが多い。
注入治療を学ぶドクターに向けた心得
私は年間を通して、ヒアルロン酸注入やボトックス注射を学びたいという多くのドクターと関わる機会があります。 その中で、注入治療の技術を効率よく、かつ正しく習得するために大切な「心得」があると感じています。
昔からあるヒアルロン酸注入ですが、最新のエビデンスに沿った注入治療は、単にやり方が変わっただけでなく、治療の根本的な理論から大きく変わってきています。
治療の習得は「家を建てる」作業に似ている
治療技術を習得することは、家を建てるようなものだと考えてみてください。 家を建てるためには、知識、技術、そして材料が必要です。
例えば、美容外科や形成外科の専門医として長く経験を積んでこられた先生方は、すでにたくさんの立派な技術や知識(材料)を持っています。 しかし、新しいヒアルロン酸注入の技術を「今までの知識の延長線上」で習得しようとすると、意外と壁にぶつかってしまうことが多いのです。
なぜなら、私が構築している注入治療の理論は、私自身が過去に経験した「麻酔科」や「呼吸器外科」などの知識や技術を材料にして組み立てられているからです。 形成外科の先生方には形成外科の専門的な材料があるように、私には私の材料があります。
もし、持っている材料が違うのに同じように家を建てようとしたら、途中で「あれ?部品が足りない」「なんか違うな」となってしまうのは当然のことです。
ゼロから学ぶ「全く新しいジャンル」という意識
では、どうすれば早く習得できるのでしょうか。 それは、一旦自分が持っている専門的な技術や知識を置いておき、「全く違う新しいジャンルをゼロから学ぶ」という気持ちで臨むことです。
例えば、ドクターが明日から突然「コーヒーのバリスタになる」と決めたとします。 その時、これまで培ってきた医学的、解剖学的な知識を使ってコーヒー豆の焙煎を理解しようとはしないはずです。 歴史から豆の種類まで、全く新しいこととして1から素直に学びますよね。
それと同じくらい、新しい理論を取り入れるつもりで勉強をしていくと、結果的に習得がスムーズになります。 もちろん、先生方がこれまで培ってきた技術を捨てる必要はありません。 学びを進めていくうちに、「自分の持っているこの技術を応用すればできそうだ」と気づく瞬間が必ず訪れ、これまでの経験が十分に活かされるようになります。
情報過多な時代における美容治療の選択
ライブ中に、他のドクターから「美容医療のことだけでも勉強することがありすぎて、毎日頭がパンクしています」というコメントをいただきました。 おっしゃる通り、今は本当に情報が増えており、新しい治療法や議論が次々と出てきます。
情報が増えること自体は、我々にとっても患者様にとっても非常に良いことです。 しかしその反面、「どの情報が医学的に正しくて、どれがいまいちなのか」という情報の取捨選択が非常に難しくなっています。
だからこそ、我々専門家は表に出るようなキラキラした部分だけでなく、その治療が医学的に正しいか、結果につながるか、リスクがどれくらいあるかということを地道に調べ、日々検証を繰り返していく必要があります。 全国には、そうやって一生懸命に研究を続けているドクターがたくさんいるのです。
インスタライブでお答えしたご質問
Q. グロースファクターを注入してしまいました。熱で膨張することはありますか?
A. グロースファクター(成長因子)は、細胞を成長・増殖させるシグナルを出す成分です。理論上は、注入した部位の細胞(脂肪や皮膚、骨など)を増やし、ボリュームが減った部分をふっくらさせたり、ハリを出したりする目的で使用されます。しかし現在の技術では、この細胞の増殖をコントロールしたり止めたりすることが非常に難しく、制御が効かなくなるリスクが伴います。何らかの刺激や成長因子の量が多かった場合、予想以上に細胞が増殖し、顔がパンパンに腫れてしまったり、部分的にコブのような膨らみができてしまうことがあります。ご質問にある「熱」などの刺激についても同様で、成長因子を注入した部位に後からレーザーなどで熱を加えたり、針を刺したりすることで、再び細胞増殖のシグナルが連鎖して大きくなってしまうのではないかという懸念があります。実際にドクターの間でもそのような可能性が議論されています。
しかし、私自身は1年以上前に注入した成長因子が、その後の刺激によって異常に増大したというケースを直接見たことはありません。注入から一定期間が経過し、細胞増殖が落ち着いた状態であれば、熱を加えるようなレーザー治療を行っても問題ないと考え、慎重に対応しているドクターが多いのも事実ですし、私もそう考えています。グロースファクター自体は決してダメな治療ではありませんし、専門的に行っている施設やドクターもいます。ただ、どのような治療にも必ずリスクは存在するため、そのリスクをいかにコントロールできるか、万が一トラブルが起きた際にリカバリーする手段をしっかりと持っているかという視点で、トータルに判断して治療を選択することが大切です。













