韓国学会で見えた世界のトレンドとヒアルロン酸治療の「もったいなさ」

韓国学会で見えた世界のトレンドとヒアルロン酸治療の「もったいなさ」

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先日、海外の国際学会として知られる韓国の皮膚科学会に参加してまいりました。普段、クリニックにいるだけでは得にくい最新の美容医療情報に触れることができ、大変勉強になりました。

この学会を通して見えてきた、世界の美容医療における最近の傾向と、当院が専門とする注入治療の可能性についてお話しします。

 

複合治療とデバイス治療の進化

最近の美容医療のトレンドは、以下の2点に集約されます。

  1. 複合治療(コンビネーション治療)の強化

一つの方法だけでなく、複数の治療を組み合わせて行うことで、より高い効果を目指す傾向があります。

 

  1. デバイス治療(機械治療)の台頭

レーザーや高周波(RF)、ハイフ(HIFU)といったデバイスの治療効果が非常に高まっており、これらを組み合わせることが必要不可欠になっています。

また、肌のコラーゲンを増やすリジュビネーション(若返り)治療も改めて見直されています。例えば、昔からあるサーモン注射(リジュランなど)のように、安定した効果と少ないリスクを持つ治療法に回帰する流れも見られます。新しい治療法には、新しい合併症や副作用が伴う可能性があるため、結局は効果が安定していてリスクが少ないものに戻ってくる、というのもこの業界の面白いところです。

さらに、ボトックス注射の応用も進化しています。単に皮膚のハリを出すマイクロボトックスとしての使用だけでなく、炎症を抑えることで、シミの産生や、いわゆる肝斑を抑えるような使い方も研究されています。

 

ヒアルロン酸注入の「もったいなさ」を解消する

今回の学会で、韓国においては注入治療、特にヒアルロン酸注入の盛り上がりが以前より落ち着きつつある、という傾向を感じました。その背景には、「ヒアルロン酸治療でできることはここまで」という認識が広がりつつあることがあるようです。

しかし、これは非常に「もったいない」状況だと感じています。

ヒアルロン酸注入は、実はもっと多様な可能性を秘めています。例えば、治療のポテンシャルを100点満点とした場合、50点程度が限界だと思われていると、それ以上の改善を求める患者様は他の治療法に流れてしまいます。

しかし、私たちはヒアルロン酸を専門的に扱っているため、ヒアルロン酸だけで「ナチュラルに、ヒアルロン酸でしかできない特徴」を活かした高いレベルの治療(例えば100点に近い結果)を実現できることを知っています。さらにはヒアルロン酸でないと実現が難しい治療が存在することも知っています。

ヒアルロン酸を骨格や靭帯の支えを補強するために使用することで、物理的にリフトアップさせ、ナチュラルな若返りを実現することが可能です。もしヒアルロン酸の限界を理解していないまま他の治療に移ってしまうと、患者様のメリットとなる最善の治療機会を逃してしまう(治療の機会損失)ことになりかねません。

 

論文やデータだけでなく、臨床とのバランスが重要

学会発表や有名な先生の意見、論文のデータが全て正しいとは限りません。研究で得られた知見と、実際の臨床現場で起きている結果には、常にギャップがあることを認識しながら治療を進めることが重要です。

特に美容医療においては、広告や著名な先生の発言が「正しい」として広まりやすい傾向があるため、注意が必要です。例えば、「顔に注入するのは良くない」といった一言で言い切られた場合、それは「良くない使い方をした場合に良くない」のであって、適切な方法や正しい使い方をすれば問題なく効果を出せる場合もあります。

患者様の安全を最優先するためには、研究データで得られた情報を頭に入れつつも、実際の医療現場(臨床)で得られた知見を大切にし、その両方の情報を組み合わせて活用するバランス感覚が不可欠です。

 

患者様からのご質問

「バレない」治療のために

インスタライブでもご質問がありますが、患者様から、「ヒアルロン酸を入れたことを友人に気づかれてしまった。バレないようにするにはどうしたらいいか」というご相談をいただくことがあります。

若返り治療で「バレてしまう」要因はいくつか考えられます。

  1. 不自然な形状によるもの

これは注入の技術や、目指す形についての患者様と医師との綿密なすり合わせ(ゴール設定)が必要になります。

  1. 一時的な腫れやむくみによるもの

治療後のタイミングの問題です。その間に人と会う用事を控えたり重要なイベントが無いようなタイミングで治療を設定すると良いです。ヒアルロン酸注入やボトックス注射はダウンタイムが無いから大丈夫でしょ、と安易に治療を受けられることはお勧めしません。

  1. 若返りすぎたことによるもの

これが最も難しい問題です。久しぶりに会う人にとって、以前より若々しくなった顔は「おかしい」と感じられることがあります。

 

バレないようにするための対策としては、以下の3点が重要です。

  • スピードの調整

治療回数を分けてゆっくりと変化を出します。いくらナチュラルに若返ると言っても短期間での変化は人にバレる可能性があります。

  • ゴールの設定

どこまでの若返りを目指すかを、担当医と綿密に話し合い、バレない程度の若返り治療に留めておきます。前項にあった若返りのスピードをバレないように調節したとしても、あまりに若返るとさすがに若すぎて気付かれる可能性も出てきます。

  • 頻繁に会う人にはバレにくい

実は、毎週や毎月会うような人は、小さな変化に慣れてくれるため、結果的に1年後に大きく若返っていても気づきにくい傾向があります。逆に、たまに会う人に気づかれるリスクは残ります。

もし1年に1回、8cc(8本)の注入をされている患者様が、その頻度や本数を調整した場合でも、結局1年後に同じ状態になってしまうのであれば、「バレるかバレないか」というリスクは変わらないかもしれません。大切なのは、ゆっくりと変化を出しつつ、周囲の方の目を慣らしていくこと、または友人との間隔をさらに空けて、久しぶりに会った時の変化を別の理由(例:パーソナルトレーニング)などで説明できるようにしておくことです。

 

複雑な治療へのアプローチ(貴族ヒアル、マリオネットライン)

当院では、多岐にわたるお悩みに対応しています。

例えば、「貴族ヒアル」(法令線の上部への注入)は、ほうれい線が目立たなくなる効果が期待できますが、血管塞栓といったリスク(血流障害)も起こり得る、特に注意が必要な部位です。

 

また、患者様が費用面を考慮し、少量(例えば1本1cc)での注入を希望される場合ももちろん対応可能です。ヒアルロン酸は量が多ければ良いというものではありません。1本という限られた量で、どこに最も効果を集中させるか(例:マリオネットライン、Eライン、目元など)を計画することが重要です。

1ccのヒアルロン酸を、顔の立体感を整えるために20箇所に分け、1箇所あたり0.05ccずつ注入するといった、緻密な治療計画も実際に行われます。

 

注入専門医としての責務

当院が注入専門クリニックであるからこそ、ヒアルロン酸やボトックス以外の治療法についても深く理解している必要があります。

例えば、ヒアルロン酸注入だけでは改善が難しい、眉下や眼窩(目と眉の周囲)の形状改善には、皮膚を切ったり脂肪を取り出したりするオペ(手術)が必要となる場合があります。

患者様のより良い状態や効率的な治療のために、当院では治療の初期段階から、オペが必要な部分や、オペが有効な部分についても説明を行っています。これは、元々麻酔科や外科の経験があったからこそできる、顔全体の構造を理解した上での総合的な治療提案です。

ヒアルロン酸治療の専門家だからこそ、外科やデバイス治療といった他の専門領域についても精通し、その特徴やデメリットを理解した上で、患者様にとって最適な選択肢を組み立てていくことが大切だと考えています。

 

ヒアルロン酸の限界を超えて

ヒアルロン酸注入を繰り返す中で、「毎回注入本数が減らないのはなぜか」と感じる患者様もいらっしゃいます。

ヒアルロン酸は思ったほど早くは減りませんが、本数が減らないと感じるのは、患者様が若返った状態のお顔に慣れることで、「もうちょっと若返りたい」という次のステップの治療プラン(アセスメント)を描くようになるからです。もちろん、前回と同じレベルで維持したいというご要望があれば、そのように治療プランを組み立てることも可能です。

しかし、ヒアルロン酸注入が美容治療の全てではありません。ある程度ヒアルロン酸治療を進めた後は、デバイス治療(ハイフ、高周波など)を組み合わせることで、ヒアルロン酸では出せない「ハリ感」や「リフトアップ感」を維持することができます。

ヒアルロン酸は形を整えるために必要な箇所に絞り、残りは機械や時にはオペ、糸治療など、他の仕組みをうまく組み合わせていくことで、よりバランス良く、無理なく理想の状態を維持できるでしょう。

 

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