たれ目院長ブログ 〜スマホが手からポロリ…。から学ぶ、注入治療は一瞬の油断が大事(オオゴト)に!〜

安くないスマホ、ほとんどの方はケースに入れ、画面にフィルムを貼って保護していると思います。私も同じで、とても裸で使う勇気はなく、ケースとガラスフィルムでバッチリ保護しています。そんなスマホを先日うっかり落としてしまいました。ホテルのロビーだったので下は大理石の床。本当に一瞬油断した瞬間に手からスルッと滑り落ちて、落ちていくシーンはスローモーションのように見え、あぁ終わったな…と思いましたが、幸いにもケースから落ちてくれて無傷でした。

 

色々反省しました。

まず、いつも気をつけているのになぜあの時スマホを持つ手に注意が足りなかったのか。思い返せば確かに少し慌てていて油断していました。あれほどきれいに落とすとはよほど注意力散漫になっていたのでしょう。

それから、ケースとフィルムを付けていてよかった、と。結果的に無傷だったとはいえ、落としたのは腰の高さから大理石の床に。ケースとフィルムがなければおそらく無傷では済まず、なんらかの傷か画面のひび割れが発生していたことでしょう。

反省しながら思ったのは、これ、ヒアルロン酸注入においても同じだなと。ヒアルロン酸注入治療において最も怖い合併症は塞栓です。塞栓とは、ヒアルロン酸が血管内に入ってしまい、血流を阻害することで皮膚の血行が悪くなり、ひどい場合には壊死に至ります。こう聞くと非常に怖い話ですが、注入治療を施す以上、絶対に目を背けてはいけません。

塞栓はヒアルロン酸だけの問題ではなく、何かを体内に注入する治療において常に合併症のリスクとして存在します。脂肪注入、コラーゲン、その他のフィラー注入において。

塞栓は基本的に針先が血管内に潜り込んでしまった時に発生します。針先が血管内に入らないようにするにはどうすれば良いか。まずは知識とテクニックで回避します。人の体の構造、「解剖」を頭に叩き込んで、どうすれば重要な血管を避けることができるか、比較的安全なゾーンと攻め方を学び、その上で正確かつ繊細なテクニックを用いて針先が血管内に入らないように慎重に操作します。

それでも見えないところで針先を操作するために、血管内に針先が入ってしまうことはどうしても起こり得ます。その時は、針先が血管内にないことを確認する方法を用います。最新のヒアルロン酸製剤であれば陰圧をかけて針先が血管に触れていないかを確認することができます。陰圧をかけた時に鮮やかな血液が逆流してくるのが見えたら針先が血管内にある確率が高いと判断し、絶対にそこで注入はしないようにします。

この陰圧をかける作業、アスピレーションは、フィラーの種類によってはできないものもあります。また、ヒアルロン酸製剤の中でもアスピレーションが有効にできない種類もあり、できるだけ新しく、弾力が適正でアスピレーションが可能な製剤を選ぶことも重要で、私がアラガンジャパン社のジュビダームシリーズにこだわっているのもそのためです。厚生労働省の承認製剤であるというだけではなく、実際の使い勝手が良いために安全に寄与するからです。

アスピレーションという作業自体もサボらず丁寧に行うことが大切になります。アスピレーションは施術者にとってはやや面倒くさい作業になります。ただ、このちょっとした一瞬の作業で塞栓という最大の合併症を抑えることができるとなればやらない手はありません。なのに、時間が無くて急いでいたり注入治療に慣れてくると省略しちゃいがち。これこそがまさに一瞬の油断によって大事に発展してしまう、スマホの例と同じなのです。

スマホを落とすのも一瞬の油断で、ヒアルロン酸が血管内に誤注されてしまうのも一瞬の油断、判断ミスによって起こります。起こってしまってから焦ってももう遅く、ガラスが割れるのも血管が詰まるのも一瞬にして起こり、後に残るのはなぜあの時油断してしまったのかという後悔だけ。

両者ともまた似ているのは、最終的に最悪な状況を回避する手があること。スマホの場合にはケースとフィルムを付けていたことが幸いし、最悪な状況を免れました(笑)

ヒアルロン酸注入においてはヒアルロニダーゼという、ヒアルロン酸を分解できる薬があり、これを使うことで血管に詰まったヒアルロン酸を溶かして皮膚壊死という最悪な状況から回復できる可能性があります。どちらも100%カバーできるわけではありませんが、あるとないでは大違い。付けておいてよかったケース、同様に用意しておいてよかったヒアルロニダーゼ。もちろんヒアルロニダーゼを頼るような状況になって欲しくはありませんが。

スマホを落としたことから治療における一瞬の油断も許されないと気を引き締め直しましたが、本当のことを言うと、スマホは割れても買い換えれば済みますが人の体は替えがききません。スマホと同様に油断なく、ではなくて人の顔ですから万に一つの油断もミスもないように!、という心がけが大事。油断なくても予想外のことが起こり得るのが人への施術であり、それが医療というものですから。

 

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