たれ目院長ブログ 〜高額の治療を提案するのは気が引ける、それはプロ意識が足りない?〜

美容医療はほとんどが自由診療なので、公的な補助がなくある程度の費用がかかってしまいます。

麻酔科医、外科医として長く保険診療をしてきた私には、お金の話を患者様とすることには慣れておらず、最初は苦痛でした。というのは、せっかく良い治療があるのに、これだけの治療をすれば患者様の悩みやコンプレックスは改善されるのに、高額になってしまって申し訳ないという気持ちが先行してしまって、費用の話になると言葉が詰まってしまっていたのです。

この悩みは意外に根強く残りました。風邪や怪我の治療の際、患者様と費用の話をすることなどほとんどなければ、費用のことを考えたこともありません。それは日本における極めて手厚い保険制度があり、海外では数万円かかる治療費が3千円もしなかったり、数百万円かかる手術も高額医療費の補助により10万円程度になるから、という理由もありますが、病気を治すために必要な治療をそもそも減らしたり断る人はいません。

ところが美容医療では1回で100万、200万円の治療費となることは普通ですし、従来のヒアルロン酸治療をイメージしている患者様が新しい治療法の費用を聞くとたいていの方は驚かれます。そんなこんなで最初は治療費用を説明することに気が引けてしまい、ヒアルロン酸注入ポイントをあえて減らして提案したこともありました。

ただ、注入治療を追求していくうちに、もっと良くできる、もっと改善できる治療があるのにそれを提案しないのはプロとしてどうなのか。自分が勝手に金額にビビって控えめな治療を言ったところで誰が幸せになれるのか。むしろ治療を求めて来ている患者様に全力で治療を考えないのは失礼ではないか、もしかすると患者様にとって不幸せなことではないか、などと感じるようになりました。

そこで、患者様には勇気を持って自分のできるMAXの治療を説明するようにしました。そうすると色々な変化が起きてきました。

まず、MAXの治療を提案するからには自分の知識、技術をとことん伸ばさなくてはいけません。そのための勉強、研究にはより熱心に取り組むようになりました。患者様はドクターにプロフェッショナルな意見や治療を求めてきます。その診断力だったり治療の力量が足りなくてはそもそもの医療の前提が崩れてしまいます。このあたりは先日に書いたように、保険診療であっても自由診療であっても医療の本質は同じであり、そうあるべきと思っています。

そして、もし患者様が提案したMAXの治療を望まれた場合には、それだけの変化を起こさなければなりません。治療後に自分の顔を見た瞬間に感動してもらうくらい。そのためには提案する治療プランをより高度で高精度のものにする必要があり、注入治療のテクニックに加えてアセスメント力を鍛える必要がありました。

そうこうしているうちに、患者様の悩みをどれくらいの治療でどの程度改善できるのか、ある程度正確に予測することができるようになり、実際に治療をすると治療前に描いたイメージ通りの変化を起こすことができるようになりました。そうすると、あれだけ苦手に感じていた治療費の話もある意味しっかりと伝えることができるようになっていました。

なんのことはない、それまで苦手だったのはプロ意識が足りなかったのです。自分の考える治療でこんな治療費を言ってしまっていいんだろうか、もし治療後に満足できなかったらどうしよう、などと余計なことを考えて、肝心のプロフェッショナルな仕事がまだできていませんでした。ちょっと控えめな治療にすれば金額も控えめになり、納得できる範囲になるだろう、そんな考えも心の奥底にあったのかもしれません。

でもそれって医師として正しいでしょうか。プロとして考えると患者様に対する冒涜ではないでしょうか。仮に急病や癌などを患って病院に行ったときに、効き目の弱い控えめな治療から提案する医師がいるでしょうか。いや、そんな医者はいません。まずその瞬間でできる最大限の治療から始めることでしょう。そこに立ち返って考えると美容であっても同じで、患者様の悩みを最大限に改善できる方法があるのであればそれを提案するのが医師として、プロとしての役目だと思いました。

セミナーで参加者のドクターからよく質問されることの一つに、「高額な治療を勧めにくいがどうすれば良いか」という内容があります。これに対しては、まず最大限できることプロとして提案してください。その後は予算もあるのでどこまでの治療をするのか患者様と一緒に考えます。幸い、ヒアルロン酸注入治療は治療の程度を自由に選べるので。と答えるのですが、それでもあまりピンと来ない場合には、もう一つ例を挙げて答えます。

「先生方は細菌感染で治療が必要な患者様が来たときに、まずは抗生剤を1錠から飲んで様子をみましょう、と言いますか?。または、ひどい帯状疱疹で来た方にまずはバルトレックス1錠処方しましょう、と言いますか?」

当たり前ですが答えはNOです。そんなことをする医者はいません。症状とそれに必要な治療が明らかであれば、治るために必要な治療をします。即ち、上記の例であれば抗生剤を1週間ほど、バルトレックスをまずは1週間続けましょう、と答えるに違いありません。でもヒアルロン酸注入になるとそれを忘れてしまい、とりあえず1本から始めてみれば、と勧めてしまいがちですが、これはバルトレックス1錠処方するような治療と同じことをしているのです。

そこまで説明するとほとんどのドクターは理解されます。恐る恐る、とりあえずの治療を提案するのではなく、プロとして必要な治療を提案することが美容においても大事であることを。その提案の中でどこまでの治療をするかは患者様が決めることであり、ドクターが勝手に治療の上限を決めてはいけません。そして、提案できる治療の限界こそが自分の力量の限界であることも理解し、どこを鍛えていくべきかも明白になります。

勘違いして欲しくないのは、私はヒアルロン酸をたくさん入れることを勧めているわけではありません。必要な部分に必要な量の治療を施すこと。それこそが大切なことです。また、ヒアルロン酸治療は専門であり大好きですが、ヒアルロン酸注入で全てのことが解決できる、なんてことも全く考えていません。そこまでヒアルロン酸に執着しているわけではなく、むしろ注入治療の限界を見極めることが大事で、ヒアルロン酸注入が苦手だったりそれだけでは無理な場合にはHIFUや脂肪溶解注射、オペやスレッドなど、必要と思われる他の治療も躊躇なく提案していきます。

今となっては患者様に自信を持って治療を提案することができるようになりました。治療に関しては、ドクター以上に専門的なことを言える人はいません。まずはドクターがしっかりと治療を提案し、責任を持って治療をすれば結果はついてきます。そうすると皆がハッピーになれる、いわゆる「三方よし」となれると思います。

 

 

 

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