たれ目院長ブログ 〜職人と経営者のジレンマ〜

良い経営者とは…、と語れるほどの知識も経験もないため、それは経営学や専門書にお任せします。ただ、施術を行う職人としてのこだわりと経営というのは時として反することもあるなと感じています。

医者は職人であり、人を治す、良くすることに生きがいを感じる、と思っています。そこに、あまりお金の話を持ち出したくないのですが、近年は医療費の増大により、保険診療であってもコスト意識を持って診療しなければいけません。ましてや美容などの保険診療においては国が7割負担してくれるわけではないので、利益を無視して自分のやりたい治療ばかりをするわけにはいかず、どうしても経営を考えなくてはいけません。

この経営の部分がちょっと苦手で色々と悩みました。私は自分の行なっている注入治療が好きで、こんな良いものをもっともっと広めたいと思っています。ナチュラルに若返ることも、キレイになることも小顔になることも、キレイな輪郭になることも優しい表情になることも、大掛かりなオペや傷もなく注射のみでできると言うのは素晴らしいことだと思っています。ヒアルロン酸という身体に対して安全性の高い製材も開発されて、良い時代になったなぁと。

治療しながら、もっともっとキレイにしてあげたい、と思ってしまいますし、治療後に感動してもらえる姿を見るともうお金なんかいいからもっとキレイにさせて欲しい!と思っちゃいます(笑)。ただし現実はそんなわけにはい来ませんが。

クリニックと言えども事業であり、利益を出さなければ存続できません。しかも美容は自由診療であり国が補助してくれないので少なくない費用をいただかなければなりません。経営的な考えで言うと、診察や治療に関わる時間を少なくして診療する患者数を増やせば売上は上がる、となるかもしれませんが、そうすると患者様一人当たりにかける時間と余裕が減り、治療の質は低下してしまいます。手技そのものは同じ様にできるとしても、物理的な時間が減ることで失われることは必ず出てきます。

そうなるとラベールの特徴である質の高い治療が実現できず、例え売上が増えて儲かっても私の目指す医療からどんどん離れていってしまいます。経営的に考えれば利益を伸ばすのは組織を維持する上で必要なことであり、目指すべき方向の一つでしょうが、私としてはあまりその方向を追求するのではなく、正直で質の高い治療にこだわりたいと考えています。ただ、赤字ではクリニックも潰れてしまうので、職人としてこだわり、経営は無視、と言うのもできず、良いバランスがが求められます。そこが職人気質と経営との悩みどころ。

せっかく製剤も薬も厚生労働省に承認された安全な正規品があり、治療法も承認されてきているのに多くの人が受けられないのはもったいない。そう考えた結果がインストラクターとして色々なドクターにレクチャーして回ることであり、そう考えるからこそ技術も知識も惜しみなく全部伝えます。ただし見た目以上に難しくて複雑な治療であり、リスクもあるためドクターの技術、理解度を見極めながらですが。

本当の本音を言うと、お金なんか関係なくとことん治療をしてあげたい、もっともっと多くの人をキレイにして喜ばせたい、と思っています。注入治療が保険適応になって3割負担にならないかな、高額医療の補助が出ないかな、と夢みたいなことを考えていますが、さすがにおそらくこれは夢のままでしょう。

 

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