たれ目院長ブログ ~医療から見たエステ、美容商品~

手

医療から見て健康商品が残念に感じる時があることを先日ブログであげましたが、美容商品も良いものもあればちょっとやり過ぎだなあと思うことがあります。

 

エステと美容医療は美を目指すものとして志は同じですが、目的までの方法や使えるものが違います。医療は薬を使い、直接身体にメスを入れることが許されているので当然絶大な効果を発揮しますが、その反面必ずリスクというものが存在し、副作用と効果のバランスを見極めることが大事で、それが適切でない場合は威力が高い分、副作用も大きく出てしまうことがあります。例えば乾燥による炎症、色素沈着に対してのレーザー治療はかえって炎症を強めて色素沈着が濃くなる恐れがあります。

 

エステや美容サロンでは、かつては薬を使った施術や高出力レーザーを使用していた時代もありますが、火傷やトラブルが多いため医療機器、医薬品が厳しく規制され、トラブルが減った半面、医療のような効果は望めなくなりました。患者様の中には、クリニックは本当に治すための治療として、エステはリラクゼーションとして、と完全に割り切っている方もいます。規制が厳しい中でも様々な施術や美容メニューがあり、私もビューティーワールドで最新美容も見たりしていますが効果としてはあるものないもの、玉石混合というような印象です。理論的に、医学的に無理があるものを宣伝力で押し切ろうとしている場面も目にします。

 

美容商品の方は健康商品と同じく、ちょっとやり過ぎでは…と思うものがあり、規制が緩いのかネットの広告でそのような商品をよく目にします。塗るだけでリフトアップするというものや、塗ると一週間ほどでシミがめくれるように剥がれるというクリームという商品の広告を見ましたが、症状の仕組みや原因を理解している専門科からすればちょっとこれは誇張し過ぎというかはっきり言って起こりえないことを宣伝してるのでは…。たるみの根本的な原因は皮膚が伸びることではなく、皮膚を支える靭帯の緩み、土台となる骨や筋肉の縮みであり、それはいくら皮膚の表面に塗っても補うことはできません。また、シミは皮下に散らばる色素であり、クリームを塗ってもかさぶたのようにまとまって剥がれることはありません。

 

皮膚に適切なケアをすればきれいでスベスベの肌になりますし、トレチノインのようにターンオーバーを促進すればシミが浮いてきて薄くなりますがその際はめくれてくるのは皮膚の皮であってシミがぺろんと剥がれはしません。他にも、以前目にした手が白くなる石鹸や一回でシミが取れる施術、果ては腫瘍が消える健康サプリの宣伝も、一時的な変化を効果と言ったり、明らかに嘘が混じっているものがありました。シミが取れると宣伝していたものは、写真を撮る場所が微妙に変わっていて、シミの部分を白飛びさせて見えなくしていたり、腫瘍はMRIの撮影条件を変えただけで、プロの目から見れば依然として腫瘍があるのは歴然であるのに広告では腫瘍が消えたと言い切っているなど、専門科から見ればすぐわかる嘘であってもおそらく一般の方は効果があると思ってしまうことでしょう。

 

他にも、手や足が白くなる系の商品は自分で試してみると簡単にできることがわかります。例えばリンパが流れるマッサージや白くなる石鹸、それらは皮膚を擦ると血管が収縮する作用を利用して一時的に肌の色を変化させて効果を高く見せています。試しに私の手の写真を載せます。

 

 

右手は血行をよくするマッサージを受けたらすぐに改善、または美白石鹸を使ったら1回でこんなに白くなりました、と聞くと多くの方は信じてしまい、広告であればすぐに申し込んでしまうかもしれません。しかし、実はこれ、何も特別なことをしなくても誰でも片方の手で反対の手をこするだけで、その刺激で皮膚表面の血管が収縮してすぐに白くなるのです。つまり、医学的には当たり前の変化を利用して商品の効果と見せている部分があり、その変化は一時的なので長続きははしないのですが、広告としてはインパクトのある前後比較ができれば十分なのでしょう。

 

ちょっと辛口になってしまいましたが、効果のある商品もあれば見ていてちょっとこれは…と思うものもあり、誇大広告もあふれるなかで本当に良いものを消費者が見つけ出すのは難しい状況にあるなあと感じます。ちなみに当院で治療例として見ていただいている写真は完全無修正ですのでご安心ください。ただ、ヒアルロン酸のたるみ治療は写真ではわかりにくく、実際に顔を見ていただく方が良いのでモデル治療を目の前で見てもらうクリニックツアーをもっと開催したいと考えています。

 

 

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ラベールミラクリニック

〒460-0008

愛知県名古屋市中区栄1-3-3 ヒルトンプラザB1

052-253-8155

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