Hyperhidrosis多汗症

多汗症

多汗症とは

多汗症イラスト

皮膚には汗腺という汗を分泌する腺があり、体温を調節するなど必要に応じて汗を分泌しています。汗の分泌は脳からの神経による指令でコントロールされていますが、その神経がうまく機能せずに、必要以上に汗を分泌してしまう状態を多汗症と呼びます。場所は全身性の場合もありますが、汗腺の集中する掌の汗が異常に多くなる手掌多汗症が治療対象となることが多く、汗を拭きとってから一定の時間でどの程度の分泌量があるかで程度を分けて治療プランを組みます。

多汗症の原因

多汗症は汗の分泌を促す交感神経の働きに異常があり、不必要に汗を分泌する病気であり、家族内発生が多いことから遺伝が影響していると言われてますが原発性の多汗症はその神経の働きに異常を来す原因はまだ解明されていません。先天性の病気である原発性多汗症以外には、外傷や精神的なものによる異常発汗があります。

多汗症になりやすい体質

原発性多汗症の場合、幼少時から手がいつも濡れていることなどで比較的早い時期に気付きます。その他緊張してすぐに汗をかいてしまう方は神経性の多汗症になりやすい体質です。

多汗症になりやすい部位

多汗症の場所イラスト

汗腺の多い手のひら、ワキが多汗症の症状が発生する場所であり、日常生活において支障を来すため治療の対象となります。手掌多汗症の場合は書類を濡らしてしまうなど仕事において支障が出る場合があり、また手のひらの汗を気にして積極的な行動に出られずに内向的な行動をとってしまう場合もあります。ワキ汗は服に汗シミを作ってしまう問題の他に、臭いを伴う汗を分泌するアポクリン腺が多く存在するために体臭がきつくなってしまいます。

多汗症の治療

ワキ注射

代表的な治療として汗の分泌を抑える外用薬、ボトックス注射、手掌多汗症に対する手術があります。手掌多汗症の手術療法は全身麻酔下に胸部の交感神経節を破壊し、手の汗を分泌する神経そのものの働きを止めるというものですが、汗が止まるのが一時的で再発してくることや他の場所の汗が異常に増える代償性発汗という副作用があるため手術を選択する前にその副作用についてよく検討する必要があります。

院長施術

外用薬による治療は効果が弱い場合があります。症状を抑える治療としては現在はボトックス注射が効果が高く、治療としても一般的となってきました。ボトックス注射は手のひらやワキに直接注射して神経の働きをブロックするため、注射してからすぐに効果が表れ、約半年間持続します。根治的な治療ではないため継続する必要がありますが、薬の安全性、治療の手軽さ、副作用の少なさからボトックス治療を選ばれる方が増えています。

多汗症には手術が必要か

手掌多汗症に対して胸部の交感神経節を焼灼する手術が行われていましたが、再発や代償性発汗の問題があり、現在ではあまり行われていません。手術を選択する場合は症状の程度と副作用のリスクをよく検討して行います。
その他の多汗症に対しては一般的には手術は行いません。臭いを伴うワキガの場合は汗腺を除去する手術がありますが、完全に治らずに再発してくる場合があり、手術の費用や傷ができる負担を考えるとすぐに手術という選択にはなりません。脱毛やボトックスによる治療で汗を抑え、同時に臭いも抑えることができるため、手術よりも短時間で負担の少ない治療が主流となっています。

ワキガと多汗症の違い

ワキガとは、アポクリン汗腺に雑菌がついて臭いを発生する病態であり、ただ汗の分泌が増える多汗症とは厳密には異なる病気ですが、ワキにはアポクリン汗腺が多く存在するため、ワキに多く汗をかくと自然とワキガの症状が強くなります。ワキ汗を止めるボトックス注射は臭いも抑えるワキガ治療も兼ねており、同時に治療することが可能です。