歳をとるとシワやたるみが出てきて老け顔となります。その時、ほとんどの方は、顔が大きくなったと仰います。いや、歳をとって顔が小さくなったという人はほぼいませんので、もしかしたら全員かもしれません。
しかし、ここで意外な事実を一つ。
実は、顔は大きくなったと感じていても、実際は骨格は小さくなっていて、顔にある脂肪も一部を除いて小さくなっています。意外かもしれませんが、顔は小さくなっているのです。若い頃、20歳に比べると確実に顔は小さくなっています。
これ、矛盾していると感じませんか。顔は小さくなっているのになぜ顔は大きくなったと感じるのか。
この矛盾、小さくなっているのに大きく見えるという事実と感覚のズレにこそ若返り治療のヒントがあり、顔が老けていくことが具体的にどのような現象なのかという事実を追究するきっかけにもなります。そしてそれは医学的な研究にもなっていますし、人が見るポイントやものを見る時の見方、心理が影響していることにも繋がります。
具体的に紐解いていくと、顔が小さく見えるにも関わらず大きく見えるということは、顔の大小を実際に比べているのではなく、顔という物体が大きく見える要素を目がひろって見ているから、ということがわかります。顔が大きく見える要素とはラインや面のズレ、凹凸であったり、光と影の入り方、顔の重心、幅のバランスであったり様々です。
例えば、フェイスラインが楕円形で滑らかであった顔がボリュームロスによりフェイスラインが波打ち、凹凸ができてくると、それだけでも顔は縦に長くなったと感じ、大きくなったとも感じます。これは人の目の見え方に関わることです。同じ面積の円と四角を比較してみると、角を持った四角の方が大きく感じます。
それに加えて痩せて余った皮膚が顎のラインを超えて下に垂れ下がってくると、顔はより下に重心が寄ってしまいさらに大きく見えることでしょう。これは人が顔を見るときに髪の毛などで見えなかったり誤魔化される上顔面のラインよりも、パッと目につくか顔面のラインを見てしまいやすく、その下がったラインでもって顔全体のラインにつなげて見ようとする性質によるものです。
顔が大きく見える原因がわかってしまえば治療が組み立てられます。
フェイスラインが凸凹していて大きく見える場合には痩せて凹んだ部分にヒアルロン酸を注入してラインを滑らかに、全体のフェイスラインを卵型に戻せば良いですし、皮膚が顎から垂れ下がっている場合はその部分の皮膚と脂肪を引っ張り上げる治療をすると良く、額やこめかみが痩せていて顔の重心が下にずれてしまっている場合には額とこめかみにヒアルロン酸注入をして上顔面のボリュームを戻せば良い、とわかります。
そうして上顔面のボリューム、存在感を増していくと、ヒアルロン酸という物体を注入して顔を物理的に大きくしているにも関わらずラインがまとまって返って顔は小さく見えてくることがわかります。
物体を注入して物理的に顔を大きくするのなら顔は絶対的に大きく見えるはず。大きくしているのに小さく見えるなんてことが起こるわけがない、と思われる場合は逆を思い出してください。歳をとると顔は小さくなるにも関わらず大きく見えます。小さくなるのに大きく見えるとこが起きるということは、その逆の大きくしてるのに小さく見えるということも可能ということです。
ヒアルロン酸注入はただヒアルロン酸を注入すればいいやというほど単純な治療ではなく、上記のような複雑で、矛盾するテーマなどを考えながら医学的、心理的、統計学的、解剖学的に様々なことを含んで美と若さを追究していく治療になりました。この10年ほどの間に。従来の治療を継続している場合もありますが、医療、医学は日進月歩で進みます。大きくするのに小さく見える、なんてトンチのようなことすらも考えながら治療するためにはドクターは日々の勉強が大切であり、もはや簡単な治療ではありません。
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