続・針とカニューレの色々

はい、針とカニューレ後半戦です〜

前半で結論はお伝えしました。

カニューレが安全とは限らない

その理由をしっかりと、そしてややマニアックに解説をしていきます。

 

針とカニューレの使い分け

そもそも、針とカニューレどのように使い分けているかというと
骨膜上にピンポイントで置きたい部分には針
面で持ち上げたい場合はカニューレを使用しています。

針はピンポイントに持ち上げることが目的です。
骨膜上に置く理由は言わずもがな、骨格の痩せを昔の形に戻すためですが
骨だけ若返っても骨と皮だけ状態になってしまいますから、
より健康的で滑らかなフェイスラインを形成にするのに必要なのが深層脂肪帯です。

深層脂肪帯は骨と同様年々減少していくため適度に戻していくことが必要です。
過剰だと違和感が出るので、あくまでも適度に。

しかしこの脂肪帯に針で注入するのは至難の業。
針は先が鋭い分、皮膚も筋肉も血管も突き破るため
針先の位置がどこにあるかがわかりませんし
運悪く血管の中に入ってしまう可能性があります。怖いですよね。

そこで使用していくのがカニューレです。

カニューレは丁寧に扱えば血管に刺入する可能性は低いです。
先が鈍な分、組織を傷つけることなく、広く薄く範囲にヒアルロン酸を注入することができます。
(ちなみに自分がどこにいるかは、図の赤いポイントで抵抗を感じることで把握しています)

 

治療において、針でも、カニューレでも
今自分の針先がどこにいて、どこに向かうべきか、どこに注入すべきか。
自分の治療プランと実際に注入にズレがないか。
このズレを可能な限り0に近づけることが重要で
その対策の一つとしてツールを理解して使いこなすことが重要です。

ここまでが使い方の解説。

これだけ見るとカニューレが良さそうでは?と感じられるかもしれませんが
続いて逆血確認について解説します。

 

安全性に直結する逆血確認

そもそも逆血確認とは、
ヒアルロン酸を注入する前にシリンジを引くことで陰圧をかけて
掃除機のようにして血が引けてくるかを確認する作業です。

もしも血液が返ってきた場合には、
針先が血管内に入っている可能性があるので
針をすぐ抜き注入を中断します。

この逆血確認、実は製剤と使うツールによって逆血確認にかかる時間が変化します。

ヒアルロン酸付属の針は長さ13mmに対して、カニューレは40mmありますので3倍ほどの長さがあります。
同じ圧で吸った場合、短い方が逆血確認の時間は短く、長い方は逆血確認に時間がかかります。

つまり、ちょっと引いただけでは血液返ってこないので、長いカニューレは逆血確認がしにくいのです。

さらにいうとこんなことも考えなくてはいけません。

カニューレは動かしながら注入することが前提のため、
1箇所の逆血確認だけで安全が担保されるわけではありません。

なので、わかりやすくいうと

カニューレの逆血確認はそもそもしにくい。
確認しても本当に血管に入ってないかどうかはわからない。

というのがカニューレの真実。

 

ただ、こんな意見もあるかもしれませんね。

「そもそもカニューレは血管内に入らない」

本当にそうでしょうか?

世の中にある血管塞栓の症例は
全て針を使用して起こっているのか?
カニューレを使っていれば絶対に塞栓しないのか?

それは否。
事実として、カニューレを使用して塞栓している事例も多く耳にします。

カニューレも、扱いが雑になれば
血管内に入る可能性があると私は考えています。

1番怖いのは
絶対に安全だと過信して治療を行うこと
確認作業を怠ること

過信こそが1番危険だと私は考えています。

それが、冒頭の
カニューレが安全とは限らない
に繋がります。

 

わ、やばい、もう1500字だ。3部作になりますごめんなさい!!

最後はほうれい線にどうアプローチするか、という話で終わります(予定)

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