たれ目院長ブログ 〜多くの方はどんなシワにも治療は「ボトックス」と思っていますがそれは違います。〜
ボトックスが有名になり過ぎてシワにはボトックス、シワと見ればまずボトックス、というように思っている方、けっこう多いです。驚くのはドクターの中でもそのように考えている人が意外といること。正確には考えているというよりはあまり考えていないのでしょうか。
先輩から言われて行っている、本に書いてあることを実践している。それでとりあえず事足りるので、ボトックス治療ごときを改めて考えてみたことはない、疑ったこともないのかもしれません。つまり、シワにボトックス以外の治療をあまり考えたことがない、もしくは考える必要がなかったか、または考える暇がなかったか。
改めて言いますと、ボトックスは神経伝達をブロックして筋収縮を抑制する、その結果筋肉が弛緩して萎縮したり筋収縮による皮膚のシワを減らすことができます。シワが薄くなるのはボトックスの効果の一つに過ぎず、シワを減らすためだけにボトックスが存在しているのではありません。
そしてボトックスという薬は非常に強力なため、少しでも使い方を間違えるとシワが減って若がえるどころか変な顔になってしまいます。さらに薬の効き方の個人差も大きいため、ちょうど良い状態にコントロールするのがなおさら難しい治療となります。たかがボトックスされどボトックス…。
さて、ボトックスで効率よくシワを減らせる代表的なシワは眉間、目尻、顎のシワ。この3つは表情筋の動きによって大部分が作られるため、筋肉を緩めるボトックス注射がよく効きます。ただし全てをボトックスで解決できる訳でもありません。
例えば目尻のシワは、確かに筋肉の動きが原因として大きいですが、年齢を重ねると目の上のたるみが強くなり、上から垂れ下がってきた皮膚が折り重なるようにしてシワを形成します。そうすると筋肉を緩めるボトックスだけではシワは完全には消えず、目の上のたるみをリフトアップしてあげなくてはいけません。皮膚をピンと引き伸ばすように張ってあげてようやくシワはちゃんと自然に薄くなるのです。
眉間のシワはボトックスで薄くなりますが、最終的にはたるみではなく皮膚と皮下脂肪が薄くなる結果小さな溝が残ります。これが最後まで残るシワなので、最終的にはヒアルでそこの皮膚を少し持ち上げてあげることでシワを完全に除去していきます。
額のシワは前頭筋という筋肉が動いて作られるシワですが、そもそも前頭筋を使うのはたるみがあるためですから、治療としてはボトックスよりもヒアルロン酸によるリフトアップを優先しなければなりません。先にボトックスをするのは絶対ダメということではなく、人によってはボトックスでシワを薄くできる場合もあります。
要は原因に対して必要な治療をするのが大事であり、原因のバランスに応じて必要な治療の度合いも変わるということです。
額のシワはほとんどはたるみが原因なのでボトックスよりもリフトアップ優先。目尻のシワは多くが表情筋によるものなのでまずはボトックスですが、人によってはたるみの影響も大きくなっているためその時は目の上のリフトアップも加える。
他にもあります。目の下の小ジワはたるみの原因が大きい場合はまずリフトアップ、その次に筋肉の動きが大きい場合はボトックス、その上で皮膚が薄くなっているためにできている小ジワにはコラーゲンを増やして皮膚の弾力を増す治療、最後に皮膚の乾燥によってできているちりめんジワを保湿治療で改善。
一つの治療で全ての悩みを改善できる魔法のような治療は存在しません。もう一度言いますと、重要なのは原因の大きさを見極めて必要な治療を選択すること。シワと見ればボトックスでは正しく改善しません。
「症状の原因を見極めて必要な治療を適切に施す。」
普通の医療では当たり前すぎていまさら感のあるセリフですが、自由競争である美容医療においてはちょっと軽視されやすい傾向。ラベールではこれを地道に実践していきます。
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