たれ目院長ブログ ~京都でボトックスセミナーに参加~

先日、京都で開かれたボトックスに関するセミナーに参加してきました。場所は岩城佳津美先生のクリニックで、講師は福岡にあるBEAUTY TUNING CLINICの西田美穂先生。西田先生のセミナーを受講するのは初めてでしたが、並々ならぬボトックス愛と探求心には驚かされると同時に大変勉強になりました。特に、ボトックスはシワを消すことだけが目的ではなく、顔の表情筋全体のバランスを整えて美しい顔とすることが大事である、という考え方は共感するところですが、それを理論的かつ臨床的にまとめられ、一つのコンセプトとして筋の通った治療とされていることに感動しました。

ちょっと詳しく説明すると、ボトックスというのは筋肉を弛緩させることで表情筋によるシワができないようにします。シワを取りたいばかりにボトックスを強くうってしまうと筋肉の動きが過剰に抑制されてしまい、その結果として「筋肉が動かなくなる=硬い表情となる」となってしまいます。これではせっかくシワが消えても美しく笑うことができません。西田先生の提唱するボトックスチューニング(BTX-TUNING®)は、表情筋に動きを最適に調律(tuning)して、「美しく笑う」ということを目的とします。

また、表情筋は連動しているために、一つの治療が他の部位に影響を与えることもあります。例えば眉間にシワを寄せる癖があって険しい表情となってしまう場合に、眉間のボトックスをするとシワが取れて優しい表情となります。その時に、治療していないはずの口角が上がっていることがよくあります。これは臨床的には感じていたことですが、ボトックスチューニングの考え方を聞いて納得。

人間、怒る時は眉間にシワを寄せつつ口角を下げて鬼のような顔になります。この時の表情筋は一つ一つを動かしているというよりは、その表情を作るために連動し、無意識に協調して動いているのです。つまり、ボトックスで一つの動きを抑制することは、その筋肉と強調して動く筋肉も抑制されるということ。ボトックスチューニングにはその考えも詳しく説明していて、日々診療している中で当たり前のように感じていたこと、不思議に感じていたことが解明されたことで自分でもよく納得でき、すっきりしました。

ヒアルロン酸やボトックス治療は、どうしても治療する場所のみに意識がいってしまいますが、人間の顔というのは構成されるパーツだけでなく非常に精密なバランスで成り立っており、全体のバランスを考えずに一つの治療だけ行っても改善された印象は乏しく、さらにはバランスが崩れたことによる違和感が強くなってしまう恐れもあります。ナチュラルで美しい表情というのはそのバランスを崩すことなく治療することで得られます。

ヒアルロン酸注入もボトックス注射も、決まったマニュアルではなく、ナチュラルで美しいお顔とするためには患者様一人ひとりに完全オーダーメイドで治療する。これが基本であり大事な点ですね。

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