国民皆保険を実現し、現代の医療制度に見合わないほど充実したサービスである健康保険のある日本は恵まれた国です。3割負担でも高いと言う方はおそらく海外の医療費状況を聞いても信じないのではないでしょうか。日本ではどんなに大きな手術を受けても数百万の治療費であっても高額医療費制度があるので最大で8万円程度の支払いとなりますが、海外でも同じ感覚のつもりでいたら大変なことになります。ご注意ください。
海外旅行で骨折したら、目玉が飛び出るほどのおカネがかかった話
このコラムは実体験に基づいた話で、もしも海外で大きな治療を受けることになったらどれだけの費用が発生するのかがよくわかります。海外旅行時の保険がどれだけ重要か、逆に入ってなかったばかりに高額の医療費を請求され、泣く泣く支払うことも現実的に起こっています。最近ではクレジットカードに付帯保険があるので便利ですが、補償内容をよく見てみるとフルカバーでなかったり、病気はカバーしていても傷病、つまりケガに関しては補償額が少なかったりとマチマチです。クレジットカード付帯保険をアテにするのであれば足りない補償をアラカルトで購入するとよいです。空港の保険カウンターなどで購入できます。
知って欲しいのは、海外の医療費だけが異常に高いのではなく、日本でも同じくらいの医療費や救急車の費用は発生しているということ。特に救急車は無料と思っている人が海外で救急車に費用が発生するとなったら驚いて、場合によっては怒る人もいるかもしれません。人の命を救う緊急時にお金を取るとは何事か!、と言われそうですが、人の命を救うことには常に費用が発生しています。日本の救急車も車両代、維持費、人件費、その他全てのお金は公費で賄われています。感謝しなければいけませんね。とある統計では救急車が1回出動するのに平均約4万5000円に費用がかかると言われています。
そんな恵まれた国の日本ですが、高齢化社会に加えて高騰化する医療費に圧迫されてもう破綻寸前です。医療費を抑えるためには保険診療を行うドクターが過剰な検査や投薬を控えて適正な医療を行うことが大事なのですが、現実的にはなかなか抑えられない事情があります。例えばちょっと頭を打っただけでも最近は簡単にCT検査を行います。CTは被爆の問題もあり、専門科としては頭蓋内出血のリスクは低いから検査なく様子見ましょう、と言っても患者側が納得しないことがよくあり、かつ日本ではCTを撮っても費用は安いために検査しない理由というのが弱いのです。なぜ検査しないんだ!、と怒られることもある始末。結果、ちょっとぶつけただけでもCT検査という過剰医療になってしまいます。
医療者側も、ほぼ異常がないだろうとわかっていても検査しておく方がトラブルは少ないし怒られることもないか、とやはり簡単に検査しがちで、それが少しづつ重なると医療費を押し上げてしまい、なかなか下がることはないでしょう。この医療費の問題は健康保険の制度そのものから見直さないと難しいのではないのでしょうか。このままいくと、医療費は変わらずか増大することは明白で、その医療費は若い世代が負担するのか高齢者が負担するのか…。もしかすると日本もいずれ、たかが盲腸の手術で費用が100万円という時代になるかもしれません。
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ラベールミラクリニック
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