たれ目院長ブログ 〜シワがあるから老けて見える?老けているからシワがある?〜
多くの人にとって目につくシワは嫌なもの。それはわかります。シワは老いをイメージさせます。
では、その嫌なシワをなくせば若い頃の顔に戻れるか⁉
そのことに︎関しては賛成しかねるというか、ちょっと仕組みが違います。Aの時はBとなる現象に対し、その裏となるBならばAとなるかは実はイコールではないのです。この場合のAは老化であり、Bはシワはできることです。つまり、老けてたるむとシワはできるが、あくまでシワは老けた顔の要素の一つに過ぎないということ。顔を若返らせるとシワは薄くなりますが、シワだけを無くしても顔は意外と若返らないのです。
ちょっとややこしいですね。整理すると、シワがあるから老けて見えるのも、老けるからシワが出るのも両方とも正しいです。どちらが間違っているということではなく、どちらも事実です。問題はその逆を考えた時。老けるからシワが出る、その逆にリフトアップすればシワは消える、これは正しいです。
ではもう一つの方はどうか。シワがあるから老けて見える、その逆にシワがなくなれば若返るかというと、ある程度は正しいのですがある段階からは正しくない、正確に言えばシワだけでなく他の症状を一緒に改善しないとちゃんと若くはならないのです。
顔の老化現象は顔中にあります。仮にそれを点数化し、ゴルゴライン、ほうれい線、マリオネットラインなどの代表的なたるみのサイン、シワをそれぞれマイナス10点とすると、それらを治療することでそのマイナス10点は0になります。しかし、老化のサインは顔中に散らばっています。額の凹凸やこめかみのやせ、頬のコケ、それらが原因のたるみ、顎先の形、皮膚の緩み、皮膚の弾力低下による小ジワ、目の上のたるみ、鼻のやせ、眼球の萎縮、脂肪の突出や下垂、などなど顔中多岐に渡ります。
しかしそれぞれのマイナス度合いは法令線やゴルゴラインほどではないので、単体ではあまり目立たず、気づいている人も少ないのです。法令線が老け顔を印象作るマイナス10点としたら他の部位や症状はマイナス5点以下というイメージ。マイナス度合いは少ないですが無いわけではなく、それらの複数の老化現象が組み合わさって顔全体のたるみ、老けの印象を作り出すので、例えマイナス10点の症状を無くしても他がたくさん残っているとナチュラルな若返りとはならないのです。
そうすると、法令線やゴルゴラインがなくなれば顔は若返るはず!と思っていた人がいざ治療後の顔をみると、確かに若返っているようには見えるが、なぜか治療前に予想していたような若々しさがないことを無意識に感じ取り、違和感と感じるのです。おかしい、若返っているはずなのに何か物足りない。嫌だったシワが消えているのにすっきりしない、というように。
実際の診療現場では、このシワ、ほうれい線を薄くしたい、と希望されてきます。その時に、ラベールでは必ず、どうなりたいかを聞きます。どうなりたいかという方向性と患者の悩みの症状が一致していれば問題はないです。例えば法令線を薄くしたい、そしてナチュラルに若返りたい、という患者様がいて、その方の老化のサインが本当に法令線だけの場合には、治療部位と目的が一致しているので、法令線を薄くするだけでなりたいお顔、ナチュラルに若返った状態になれます。
しかし、もしもその方の顔が老けて見える原因が法令線以外にたくさんある場合、法令線だけを薄くしてもナチュラルな若返りにはなりません。法令線を薄くしたいという患者様の希望と、ナチュラルに若返るために必要な治療とのギャップが大きく存在するのです。この時にどちらを取るか。ほうれい線を薄くすれば患者様の希望に沿った治療となるのでとりあえずその日は満足されますが、その後顔を見て物足りなさ、違和感を感じても、ドクターには自分の希望通りの治療をしてもらったために不満も文句も言えません。
逆に、法令線の改善は少しだけだったとしても、顔全体の老化現象をバランスよく改善する治療を施すと、どこが変わったかよくわからないけど顔全体がスッキリとしてなんとなく若返っていることに気づきますが、自分の希望であった法令線の治療がイマイチ!となって、それもまた不満になりかねない。
難しいですね。どちらも間違ってなくて、どちらも正しいと言えます。患者様の希望に沿った治療はあるべきだし、医学的に正しい治療も行われるべき。両方とも正しいはずなのにそれぞれの治療だけでは満足度が上がらない。この難問に目を背けず立ち向かい、その中から本当の正解、満足度の高い選択をすることが医師というプロに求められることです。
患者様の悩み症状と、なりたい自分、方向性とを一致させる治療を選択・提案し、悩み改善となりたいお顔を高い次元で両立させる治療を行う。これこそが医療現場で必要な作業であり、美容医療のプロの仕事であるべきと思います。そして患者様は。プロの診断、提案を頼りにして治療をプランニングし、自分に合った治療を選択していく、という流れが本来の医療現場であるべきですが、美容医療においてはドクターの信頼、信用が低いためか、患者側が勉強すべき、調べが足りないのは患者の責任、という意見を目にすることがあります。
これは、プロとしての仕事、責任を放棄しているとも言えるし、専門家の技術を発揮できるチャンスを捨ててしまっているとも言えます。とても残念なことだと思います。患者様がどこに行っても、どのドクターを受診しても一定のレベルを保った診療が行われていれば、美容ドクター全体に対する信用も上がって、患者様が必要以上に勉強したり警戒して受診する必要がなくなり、皆がもう少し幸せになれると思っています。そのために微力ないちドクターができることとして、後進を育て、教育に力を入れています。
話がそれました。結局、美容クリニックを受診する時は、気になる症状と同時にどうなりたいかを少し考えて相談すると良いです。シワを取りたいのは当然ですが、その気になるシワがなくなることによってどうなるか、をちょっと考えてみるのです。本当はどうなりたいか、とシワを取ってなれる顔が一致しているかについて考えをまとめておくと、相談がスムーズになり、自分の希望する方向性を外さず、変な顔にならない治療を進めていけると思います。
シワを取ったら若返ってオールオッケーじゃないの?、自分のなりたい顔となれる顔が同じかなんてよくわからない!、という方はもちろんそれで全然問題ないです。よくわからないままで良いので、そのままの考えを思いっきりドクターにぶつけてください。ドクターはそれを受け止めて患者様の代わりに考え、診断し、答えを出してくれます。そのために勉強をし、6年間学校に通い、2年の研修を経て数年〜10年以上も臨床現場で知識、技術を磨いてきているのですから。
ラベールは常にそのスタイルです。どのドクターであってもスタッフであっても。少なくとも当院では緊張することも遠慮することもなく、悩み、疑問、不安を全部相談してください。美容医療はなりたい顔になるための医療であって、レストランでメニューを選択するように治療を選択する場ではありません。そもそも何が適しているかの診断なく治療を選択することはできないはずなのです。
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