昨日、顔のシミ治療を紹介しました。その中で、レーザー照射後しばらくはかさぶたができる状態を見て患者様本人がびっくりしないように、よく説明することが大事と話しましたが、これは意外と見落とされている部分だと思います。
昨日の症例では治療前と治療後1カ月、3カ月目の写真がありましたが、レーザー照射後の1週間が見た目が大きく変化します。YAGレーザー照射後、皮膚は軽いヤケドの様な状態となり、2~3日で薄いかさぶたとなります。かさぶたは剥がれるまで1週間から10日ほどかかりますが、初めて治療される方がその間顔にかさぶたがある状態を見ると、きれいに治らないんじゃないか、とんでもないことをしてしまったのでは、と不安になってしまいます。
上の写真はYAGレーザー照射後3日目の状態です。ご覧のようにかさぶたができつつあり、見た目は元のシミよりも酷く見えます。もちろんかさぶたが剥がれるときれいな皮膚が出てくるので、その状態になれば患者さんはほっとしますが、それまでの間不安を感じながら過ごさなければいけないのはストレスになります。一時的に酷く見えてもその後にきれいになるから、と思うのは結果を知っているからであって、初めての方はたいていびっくりします。その不安をケアしてあげることが治療する医師の務めでもあると私は思います。
ちなみに、このかさぶたの時期は治療のおいて非常に重要です。この時期にこすったりかさぶたを剥がすような刺激を加えてしまうと炎症が強く起こります。それによって傷の治りが遅くなるだけでなく、炎症性色素沈着のリスクが格段に高まります。炎症性色素沈着というのは、皮膚に炎症が起きた時に産生されるメラニン色素が沈着する状態で、ニキビの痕などに残るシミのようなものもこれにあたります。レーザー治療はシミを除去する効果は高いですが皮膚が焼ける治療であるため、炎症性色素沈着が発生するリスクがあります。もし炎症性色素沈着が発生しても時間とともに消えていきますが、それには3カ月~1年という長い時間が必要となることもあります。せっかくシミを除去しても新たな色素沈着があってはもったいないですね。そうなるかどうかは、かさぶたの前後の時期のケアで大きな差ができます。
上の写真は首にあったうすいホクロをレーザーで除去した3週間後の状態です。普通であればもっときれいになるのですが、このスタッフは治療していることをうっかり忘れて3日目にかきむしってかさぶたを剥がしてしまいました。その後やはり炎症が強くなり、ご覧のように傷の治りが遅く、炎症性色素沈着も出てきそうな気配です。
実は首の左側にある同じくらいの大きさのホクロも同時にレーザー治療していました。写真も同じく3週間目のものですが、こちらは途中でかいたりすることなく、刺激を加えなかった結果、非常にきれいに治りつつあります。まだ治癒の途中のため完全ではありませんが、このままいけば予定通りの経過できれいに治り、炎症性色素沈着の気配もありません。同じ人の同じ治療でも、その後のケアが異なるだけでこれだけの差になってきます。こすらないこと以外にも、ビタミンC内服、トランサミンの内服や導入、ハイドロキノンの塗布など、私が口酸っぱく、スタッフにも患者様にも聞きあきたよと呆れるくらい(笑)レーザー後のケアを説明するのは、すこしでも傷を綺麗に治すためであるのです。
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ラベールミラクリニック
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