このブログはインスタライブの要約記事です。
皆様、おはようございます。ラベールミラクリニック院長の新井根洋です。
最近、患者様から「ヒアルロン酸を注入すると、後からずれてしまうのではないか?」というご質問をいただくことが増えてきました。 SNSなどでも様々な意見が飛び交っているため、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
今回のインスタライブでは、美容医療の最前線で注入治療を専門に行っている立場から、「ヒアルロン酸はずれるのか」という疑問について、顔の解剖学や製剤の特性も交えながら詳しくお話しさせていただきました。
今回の記事で伝えていることとまとめ
- ヒアルロン酸は「ずれる」物質である: ヒアルロン酸は本来ゼリー状の物質であるため、そのままでは「ずれる性質」を持っています。
- ずれないようにする3つの要素: ずれない美しい仕上がりを実現するためには、「適切な製剤選び」「解剖学に基づいた注入理論」「緻密な注入テクニック」の3つが不可欠です。
- SNSの噂について: 「ヒアルロン酸は顔が大きくなる、ずれる」という意見は、正しくない注入が行われたケースへの警鐘であると考えられます。
- 医師の技術次第: 正しい知識と技術を持った医師が治療を行えば、ヒアルロン酸はずれることなく、自然で美しい状態を維持することが可能です。
それでは、本題に入っていきましょう。
最新の勉強会から学ぶ、ヒアルロン酸治療の進化
本題に入る前に、最近の活動について少しお話しさせてください。 先日、「東海注入ディスカッション勉強会」という、東海地区の注入治療に熱心なドクターが集まり、症例を検討し合う勉強会がありました。
そこでは熊本からお招きした先生や、東海地区の先生方から大変有意義な発表がありました。 特に興味深かったのは、「顔のマイオモジュレーション」と呼ばれる、ヒアルロン酸とボトックスによって顔の筋肉の動きをコントロールする治療のお話です。
昔のヒアルロン酸治療といえば、「シワや溝があったら、そこに注入して膨らませるだけ」というイメージだったと思います。 10年ほど前までは実際にそういった治療が主流でしたが、現在は大きく進化しています。
今は見えない頭蓋骨などの骨格にアプローチして形を矯正する治療へと変わり、さらにそこから発展して、皮膚や筋肉の動きをコントロールして表情まで整えることができるようになっています。 これを応用すれば、顔面神経麻痺や手術後の左右差が強い方の治療にも役立てることができるのです。
ヒアルロン酸注入はそれほど奥が深く、非常にポテンシャルの高い治療ですが、まだまだ一般の患者様やドクターの間でも知られていない部分があります。 こうした最新の治療法を知っていただくことで、皆様により安心して治療を受けていただけるのではないかと考えています。
ヒアルロン酸は「ずれる」のか?
それでは、今回のテーマである「ヒアルロン酸はずれるのか?」という疑問について掘り下げていきます。 まず、結論から申し上げます。
ヒアルロン酸は、そもそも「ずれるもの」です。
ヒアルロン酸は基本的にゼリー状の物質です。手のひらに乗せても、ぐにゃっと形を変えてしまいます。 そんなゼリーのような物質が体の中に入ったとき、プラスチックのように全く形を変えずにその場にとどまってくれることを期待するのは、逆に言えば無理な話なのです。
ですから、「ヒアルロン酸はずれるかずれないか」と問われれば、「前提としてずれる物質である」というのがスタートになります。
ずれる物質を「ずれないようにする」3つのアプローチ
では、ずれてしまうからヒアルロン酸治療はダメなのかというと、決してそうではありません。 ずれる性質を持つ物質を、いかに「ずれないようにとどめておけるか」という工夫や研究が重ねられ、現在の高度な注入治療が成り立っているのです。
ずれないようにするためには、大きく分けて以下の3つの要素が必要になります。
| 重要な要素 | 内容 |
| 1. 製剤の選び方 | 動いてしまいやすい製剤もあれば、組織に絡みついて動かない製剤もあります。 |
| 2. 注入理論(解剖学) | 顔の中の骨や筋肉、脂肪、靭帯の構造を理解し、壁となる組織を利用する理論です。 |
| 3. 注入テクニック | 組織の層や深さを厳密に見極め、ヒアルロン酸の置き方や量をコントロールする技術です。 |
顔の皮膚の下には、ふわふわとした皮下脂肪の層があり、その下には筋肉の層、そして一番深いところに骨があります。
例えば、ふわふわな皮下脂肪の中にヒアルロン酸を無造作に塊でポンと置いてしまうと、ぐにゃっと横に広がったり、コロコロと動いて下にずれてしまうことがあります。 実際、過去に他のクリニックで注入されたヒアルロン酸が、皮膚の下でズルズルと動いてしまうケースを診察したこともあります。
しかし、解剖学的な構造(注入理論)を熟知していれば、筋肉や靭帯といった組織の「壁」に囲まれたスペースを狙って注入することができます。壁の中にきちんと収まっていれば、ヒアルロン酸がそこから外へ流れ出てしまうことはありません。
また、注入テクニックも重要です。 ずれやすい脂肪層に注入しなければならない場合でも、大きな塊として注入するのではなく、脂肪の細かい組織の隙間に絡みつくように、少量を細かく分けて入れていくことで、しっかりと固定され、ずれにくくなります。
つまり、ヒアルロン酸がずれるかどうかの差は、製品の選び方、理論に基づいた場所の選定、そしてそれを実現するテクニックという「ドクターの知識と技術」の差に他ならないのです。
ネット上の「ヒアルロン酸は顔が大きくなる、ずれる」という噂について
最近、SNSなどで「ヒアルロン酸はずれるから良くない」「顔が四角くなる、大きくなるだけだ」と発信されている先生がいらっしゃるようです。 有名な先生がそうおっしゃっているのを見ると、患者様が不安に思われるのも無理はありません。
なぜそのような意見が出るのかを考えてみると、一つの側面としては「的を射ている」部分もあるからです。
先ほどお話ししたように、ずれやすい製剤を使って、解剖学を無視して適当な場所にパンパンに注入してしまえば、あっという間に顔は大きくなり、四角くなり、ヒアルロン酸は下にずれてしまいます。 そういった雑な治療が一部で行われている現状に対して、警鐘を鳴らす意味で「ヒアルロン酸は良くない」とおっしゃっているのかもしれません。
しかし、それは最新のヒアルロン酸治療のすべてではありません。 現在では、ずれない製剤を用いて、ずれない層に、緻密なテクニックで注入を行っているドクターがどんどん増えています。
最新の技術や理論を知らないまま、ご自身の知っている過去の知識だけで「ヒアルロン酸はダメだ」と決めつけてしまうのは、少しもったいないことだと私は感じています。
安全で学術的な美容医療を提供するために
医療というのは、医師一人の感覚や個人的な意見だけで決まるものではありません。 多くのクリニックや医師が日々研究を重ね、そこから得られたエビデンス(科学的根拠)を持ち寄り、学術的な正しさを追求していくものです。
冒頭でお話しした「東海注入ディスカッション勉強会」も、まさにそういった学術的な正しさを追求し、提供していきたいという思いでスタートしました。 ドクター同士が情報を共有し、合併症やトラブルを未然に防ぎ、東海地区から悲しい思いをする患者様をなくしたい。それが私たちの大きな目標です。
ヒアルロン酸注入は、正しく行えば皆様の自然な美しさを引き出し、お悩みを解決できる素晴らしい治療です。 私たちはこれからも医療の本質に沿った、学術的根拠に基づく安全な治療を提供してまいります。
インスタライブでお答えしたご質問
Q. 頬の真ん中辺りにくぼみがあります。ヒアルロン酸を入れても、下に流れたりしますか?
A. 頬のくぼみに対してヒアルロン酸を注入した場合、下に流れるかどうかは、注入する際の条件によって大きく変わります。流れやすい性質を持ったヒアルロン酸製剤を、流れやすい状態のまま、顔の中の流れやすい場所に注入してしまえば、びっくりするほど簡単に下にズルズルとずれてしまうことは実際に起こり得ます。
しかし、注入治療にこだわる医師は、ずれないための3つの要素を徹底しています。まず組織に絡みやすくずれにくい製剤を選択し、解剖学に基づいたずれにくい場所を見極めます。
そして、大きな塊ではなく組織に馴染ませるように注入するテクニックを用います。このように、しっかりと勉強し技術を持った医師が計画的に注入を行えば、ヒアルロン酸が下に流れるのを防ぐことは十分に可能です。ずれるかずれないかは、ヒアルロン酸そのものの問題というよりも、治療を担当する医師の知識と技術次第であると言えます。














