たれ目院長ブログ 〜歯軋り、食いしばりで悩んでいる方が想像以上に想像以上に多いです。ストレス社会でからでしょうか…〜

先日のブログで、エラボトックスは小顔治療だけでなく、歯軋り、食いしばりの症状改善にも効果があることを書きました。この症状ある方、思ったよりも多い印象です。

診察でお顔を観察しているとエラが張っているのはすぐにわかります。そういう方に、歯軋りや食いしばる癖はありませんか?、と聞くとほとんどの方がそれで悩んでいたりもうすでに治療中であったりします。中には歯医者さんで治療のために作ってもらったマウスピースが割れてしまうほど噛み締めてしまう人や、セラミックの歯を噛み砕いてしまったという方もいらっしゃって驚くほど。

治療として歯医者さんで歯を保護するマウスピースを作成されている場合が多いようですが、マウスピースは歯を保護する意味であって根本的な治療とはなっていないようです。むしろマウスピースが邪魔でストレスとなり、より強く噛み締めてしまう可能性も。

大人の歯軋り、食いしばりの原因として、噛み合わせや癖もありますが一番はやはりストレスと考えられています。歯軋りによってストレスを軽減させている説もあるようですが、それ以上に歯が割れる、頭痛が発生するなどのマイナス要因が大きい場合には症状を抑えたほうが良いでしょう。

ボトックスは筋肉の動きを弱めることが目的であり、ストレスを緩和させたり食いしばる癖を直接減らす治療ではないはずですが、それでもエラボトックスや側頭筋へのボトックス注射をすると症状は軽くなり、顔の表情も明るくスッキリしてストレスが減った印象になります。これはどういうことか。

私の考えですが、最初はストレスで無意識に食いしばり、歯軋りの症状があったかもしれないのが、筋肉が肥大してそれによる筋肉痛やコリがあり、それがまたストレスで症状がひどくなり、そうするとまた筋肉が肥大し…、という悪循環によってどんどん悪化したため、もはやストレスを軽くすれば治る、というレベルではなくなっているのかと…

これは慢性的な疼痛治療をするペインクリニック的な考えと似ていて、例えば頑固な腰痛や肩こりも痛みによって神経反射的に痛みを増幅する成分が出て、それによってまた痛みが増して、それによってまたまた痛みペプチドが出て…、という悪循環に陥ってしまうともう簡単には治りません。

治療のためにはまずその悪循環を止めなければいけなくて、どこを止めるかというと、痛みの発生を狙っていきます。局所麻酔でまず痛みを感じなくさせます。すると痛みを感じたことによって発生する痛み増幅物質の発生が抑えられ、それによって痛みが減り、痛みが減ると痛み増幅も抑えられ…、という良い循環に入ります。ペイン治療は麻酔科の範囲内であり、麻酔科医でもあった私としては以前に関わっていた治療でもあります。

食いしばり症状も同じで、まずはボトックスで筋肉に力が入り過ぎてしまうのを抑えます。そうすると筋肉痛やコリ、うまくいけば頭痛も減らすことができ、ストレスが軽減された結果、無意識の食いしばり症状が減り、そうすると筋肉の緊張がより取れてリラックスした状態を保て、それはストレスの改善にもつながり…、とこれまた良い循環に入ります。

理論が正確なのかどうかは研究する必要がありますが、対症療法として考えてもボトックスは有効で、明らかに食いしばり、歯軋りが減って、その結果として患者様の心も軽くなっている様子が見えます。小顔になってスッキリしたフェイスラインになるだけでなく、表情が明るくなってパッと見た印象が大きく変わる方を多く見ていると、ボトックス、良い治療だなぁと思います。

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