私は、自分のクリニックにある治療メニューは全て自分でも体験しています。自分への治療も兼ねて、治療を受ける方の気持ちも理解できるため、また新しい治療法の実験台としても。サンプルの医薬品を試しに自分に使ってみて、効果等がイマイチで採用しなかった製剤もあります。
自分で治療を受けることの最大の目的は、やはり患者様と同じ感覚を持つこと。例えばヒアルロン酸注入であれば、顔に注射されることの恐怖や痛み、注入後の違和感の変化、気になる点がよくわかり、身を持って体験することで患者様の訴えたいことはこのことだなと共感できます。また、皮下出血や違和感、術後の腫れ、副作用なども経験することでそれが通常の経過なのか異常なのかということも知ることができます。
ヒアルロン酸は体内にある成分と基本的に同じですが、自分のヒアルロン酸と違って数日で吸収されると困るので架橋という構造で吸収されるまでの時間を長くしています。アレルギーはまれで、生体組織とも馴染みやすくて大変良い素材なのですが、体力低下時などまれに感染症状を起こす場合があります。注入直後の感染は手技の問題なのでこれはいけませんが、数カ月後などある程度時間が経ってからも起こり得るものです。今回は私自身に起こったことを経過で示します。
4月某日、セミナーの準備等で3日ほど寝不足が続き、終了後にどっと疲れが出た時に、なんとなく左目が腫れぼったい気がしましたが疲れのせいだと思って放っておいて、1杯飲んで寝ました。翌日起きてみると左目の下が腫れているのに気が付き、皮下にやや硬い腫瘤と軽い圧痛があったため感染症状と判断してすぐ抗生剤を内服しました。抗生剤を内服して2日目をピークに腫れはひき始め、4日目にはほとんど改善し、5日目には他人から見ても全然わからないほどに治り、腫脹や圧痛などの症状もなくなりました。
抗生剤開始後2日目です。
抗生剤開始後3日目。腫れがひいてきました。
普通は体調を崩したくらいでこんなことにはならないのですが、よほど弱って免疫が低下していたのでしょう。ちなみにお酒を飲んだりちょっと風邪をひいて浮腫んでいる状態は時々あって浮腫みが取れるとすぐに治まるのですが、それとは明らかに異なる腫れ方をします。自分に起こったことで症状や経過もよくわかり、同じようなことが患者様でもし起こったとしても共感でき、詳しく解説もできます。
癌の治療や病気は実際に罹ってみないと体験することができないため、患者様の不安や苦しみを想像しながら共感することが医療者には求められます。美容の施術は自分でも体験できることが多いので、施術者としては一度体験し、患者様と同じ感覚を持つことがよりよい診療につながると考えています。自分がいざ施術される立場になると、顔に注射するものは不純物がないか、製造・流通でしっかり管理されているか、副作用やアレルギーのない製品か、と色々な心配が浮かんできます。医療に絶対はありませんが、その時にそういった不安をなくし、安心感を高めるのは厚生労働省承認薬の製剤であったり、患者毎に使いまわしをせず清潔操作にとことん気を使うドクターの姿勢が重要であることがよくわかります。安くても不安のある製剤は、本当にこれが正常の反応なのか、もしかしたら滅菌処理が不十分かも、といった不安が拭い切れず、なんとも言えないモヤモヤが残ったりします。
当院ではヒアルロン酸もボトックスも厚生労働省承認品しか扱っていませんし、外科医、麻酔科医としての経験から清潔で丁寧な操作に強いこだわりを持っています。スタッフからは呆れられるほどですが、そういうこだわりは患者様の安心感にもつながるかなと思って頑張っています。
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