たれ目院長ブログ 〜ヒアルロン酸注入治療のSTEP2で必要な『重心移動』〜

私のセミナーではヒアルロン酸注入治療を根底の概念からレクチャーします。その時によく使う言葉があります。よく言われるTFT(トータルフェイシャルトリートメント)、美の基準、などに加えて。

注入治療とは、

・ボリュームのプラスマイナス、足し算と引き算

・ラインと面のコントロール

・光と影のコントロール

・限界値とバランスの理論

・視覚効果のコントロール

・ラインや面の角度の調整

などなど。これ、ヒアルロン酸注入を突き詰めて行っている人にはなんとなく伝わるかも。

ヒアルロン酸をただ注入してシワや溝を浅くすれば良い、と考えているうちはこの概念は理解できないかも。偉そうに言ってすみません。

注入治療を極めようと考えるのであれば、従来の知識やテクニックは一度全部捨てて頭の中を真っ白にし、ゼロから注入治療の理論を組み立てていく必要があると思います。理論や概念が全く異なるため、従来の知識が役に立ちません。それどころか、従来の考えやテクニックが少しでも頭の中にあるとそれが邪魔をして全く新しい概念がスムーズに入っていかないこともあります。

この4年ほどたくさんのセミナーを開催し、色々なドクターにレクチャーする機会をいただきました。その結果見えてきたことです。

ラベールに所属するドクターはもちろん注入治療をまさにゼロから学んでもらいます。カリキュラムもあります。それは注入治療の概念に沿って注入ポイントを3段階にわけたもので、STEP1〜3と表現しています。大雑把に言えばSTEP1が初級、STEP3が上級となりますが、注入治療の理論は最初から最後まで同じです。

STEP3をクリアした人がマスターというわけでなく、そのさらに上、言ってみれば超上級の治療ポイントがありますが、これは普通の患者様に施術することはまずありません。STEP3までの治療でほとんどの患者様は満足され、それより先へ進むことが少ないからです。また、その超上級のポイントまでをフルに使うと若くなり過ぎるという問題が出てくるため、万人向けではありません。

STEP1では基本のポイントをしっかりと使い、注入治療によって若返ること、輪郭治療、骨格矯正の仕組み、それらの意味と効果を理解してもらいます。

STEP2ではさらに上のポイントを使いながら、顔全体をそもそもどうすれば若く、きれいに見せられるのか、を考えていきます。その際に重要なのは顔の「重心移動」。冒頭のリストにはなかった言葉ですが最近、ドクターにレクチャーする時によく使います。

重心移動、言ってみればバランス理論の一つですが、顔の中での厚み、重み、膨らみが年齢とともに崩れていくのを見極めてそれを戻していくのです。重心と言っても単なる膨らみの調整ではありません。正面から見た顔の幅であったりボリューム感であったり、横顔における前後の厚み、さらにその上下方向の流れ、などなど、視覚的に感じる「重心」も意味します。

上の症例写真では、治療後の方がリフトアップされ整っていることは明らかなのですが、なぜ整って見えるのか、スッキリと気持ちよく見えるのか。一般的には顎先がシャープになってEラインがきれいになって額が丸くなったから、となります。それも要因としてありますがそれだけではなく、顔全体の重心が整ってバランスが改善されたから、不思議とスッキリして見えるのです。

顎や額や法令線などのパーツに注目するのではなく、少し離れて顔全体の輪郭であったりライン、まとまり感をぼんやり見てみてください。そうすると私の言っていることがなんとなくわかるかと思います。顔の下の方にあった重みが上に移動し、全体のバランスが良くなっています。

頬が上がったとかフェイスラインが引き締まったとか、そういった部分の変化ももちろん大事です。ただ、それら一つ一つの変化が組み合わさって全体の印象改善につながっているのが重要な点。一部位の変化だけでは顔全体の印象が大きくは変化しませんが、部分の変化をバランスよく組み合わせると全体の改善につながる、しかし全体の改善には部分的な治療に欠けがあっては完成しない。

個の変化が全体の変化を作り、全体は個から成る。いくら個の変化が優れていてもその個だけでは完成せず、全体もまた個が欠けては作られず、というニュアンス、伝わるでしょうか…。サッカーチームでいくらスーパースター選手がいても全体のバランスがまとまったチームに負けてしまう、例えればそんなところでしょうか。個の力も大事ですがそれ以上に全体の力、バランスが大事。

注入治療は「one for all. all for one!!」

注入治療においてまた新しい概念の言葉ができました(笑)

この概念を抜きにしてただ症状や老化現象だけを治療しても、若くはなっているのにどこかいまひとつ、きれいなんだけどなんとなくまとまりが悪い、と感じる結果となることがあります。

逆にしっかりと重心移動を意識しながら治療をすると、治療前と比べて大きく変わっているわけではないけどなぜかスッキリと、整った表情に見える、という現象が起きます。治療の概念を理解しているとわかってきますが、顔の印象というのは部分的な症状で決まるものではないからです。

例えば法令線。法令線が深いと顔を一気に老けて見えさせてしまいます。法令線はない方が良いのですが、法令線だけをゼロにすると、もちろん顔全体は若くは見えるのですがなんとなくのチグハグ感や違和感を感じます。この違和感が何か、なぜ起こるのかをわかる人はほとんどいないため、法令線がなくて若いはずだけどそう見切れない、なぜかわからないけど違和感がある、不思議な気持ち悪さがある、となります。

ラベール式注入方STEP2から先では重心移動をしっかりと行い、顔全体のバランスを究極に揃えていくことで、この不思議な違和感が発生しないように、逆に不思議なまとまり感、スッキリ感を出していくようにします。この考えをレクチャーするには単発のセミナーではなかなか難しくて苦労します。

感性の部分をできるだけ理論に落とし込んで伝えるようにしていますが、この感覚を伝授するのは本当に難しい。イチローや大谷選手にコツやポイントを全部言葉で説明してとお願いしても勘や感覚の部分は伝え切れないことでしょう。そんな感じですが、私の治療を見てその都度説明していくとなんとなくですがその感覚の部分が伝わります。

そうして上級レベルとなったラベールのドクター陣は誰がしても同じ概念の基に同じクオリティで治療することができます。これって何気なく言ってますが実はすごいことだと思います。今インスタで女医さん達のモニター治療を受け付けていますが、自信を持ってオススメします。全員、どこへ出しても恥ずかしくないレベルです。

ちなみにラベール式注入方とは話の流れ、便宜上そう言っただけでこれを広めたり有名にしたいわけではありませんよ。そんな気はさらさらありません。新井式注入方、ラベール式注入方なんて名前を広げたいのではなく、正しい注入治療が広まって欲しいというのが私の願い。

それにラベール式とか名前をつけるほど特別なことをしてるとは思っていません。やっていることはただ単に組織の配置を若い頃に戻し、骨格から矯正し、顔のリバランスを行い、ただ単に若くきれいに整えているだけですから。解剖に従い老化現象を科学的に巻き戻しているだけ。理想の顔に作り変えたりはしていません。ただ単に若返るだけです。

 

 

 

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