たれ目院長ブログ 〜人生において無駄なものは一つもありません〜

一見無駄に見えるものからでも学べることはたくさんあります。また、無意味に見えるものからも意味を見出し、有意義なものにするのも考え方次第。無から有を作り出すわけですね。

美容医療のドクターは若いうちに美容の道へと進む人が多い中、私はどちらかというと遅い方だったと思います。それまでは麻酔科、救急をしながらその後外科へと転科し、30代にしてようやく美容へと進むのですが、麻酔科医、外科医をしていたことは一見遠回りのように見えます。でも実際はその経験があったからこそ今があると強く感じています。

麻酔科医はルート確保や動静脈穿刺、硬膜外麻酔など盲目的に操作する技術が多くあり、その上非常に細かく繊細な動きが求められます。その技術は今の注入治療にそのまま活かされていますし、呼吸器外科、一般外科医として直接体内の筋肉、脂肪、骨の構造や感触を知ることができた経験も応用できています。私が短期間で注入治療の技術を深めれたのもそういった経験があったことが大きいと思います。

注入治療はまさに同じ盲目的な作業がメイン。顔の表面の形に惑わされずに奥にある骨格を読み取り、筋肉の位置や大きさを触れて感じ、そこに針を刺した後は針先から伝わってくるほんのわずかな感触だけを頼りに今皮膚の奥の見えない所で何が起きているのか、針は何を通過してどこに接触しているのか、頭の中でイメージを作りながら操作していきます。そのイメージと実際に起きていることが一致していると上手くいきますが、もしもズレがあると当然上手くいきません。

上手なドクターというのは当然針の操作や手の動きなどが精密で繊細、簡単に言えば器用であることが多いのですが、それだけではなく解剖の知識と実際の状態を組み合わせてできるイメージが正確であることも必要な要素となります。麻酔科の処置はまさにその技術が詰め込まれたものが多いので、美容医療において麻酔科医出身というだけで出来るドクターと思われるのです。生命コントロールに長けているというのも、万が一の際に落ち着いて行動できるとう安心感につながります。

ちなみに、余談ですがマッサージも得意です。ワタクシ。なんせ筋肉の配置や流れは知識として持っており、さらに筋肉の硬さ、柔らかさはオペで直接触れていた私にはよくわかるというか、慣れたものです。プロのマッサージ師といっても皮膚を切り開いて生きている筋肉を直接触ったり掴んだりした人はそうそういないでしょう(笑)

そんなこんなで回り道、遠回りをしながらもその経験は自分の糧となり、得た知識と技術は例えジャンルが変わっても応用して活用することができています。また、元々の教え好きに加えて若いドクターの教育係だったことも今に役立っています。

麻酔科時代はかなりハードな時期でした。私がいた安城更生病院の麻酔科は元々スタッフが充実していたのですが、私が入ったタイミングで色々な事情が重なり、麻酔科医が半分になってしまったのです。麻酔科医の数は減ってもオペの数は変わりません。その上安城更生病院は安城市の基幹病院としてオペ数が非常に多く、心臓血管外科まである三次救急病院だったので、急患や重症患者のオペが毎日当たり前のようにありましたので、大変濃くてハードな経験をさせていただきました。

若いドクターで救急オペ待機を分け合ったので1ヶ月のうち麻酔科待機というのが10日〜12日ほどあり、高い確率で夜中にも緊急オペで呼ばれるので家に帰るよりも病院に泊まっていた方が早かったくらいです。事実安城更生病院には立派な当直室が15部屋ほどあり、シャワーもあってタオルもたっぷりあり、ちょっとしたビジネスホテルのよう。勘違いしないでください。これは医師向けに豪華な設備としているのではなく、快適な当直室を用意していていつでも泊まれるからとことん働いてください、待機も中でどうぞ、という意味です(笑)

私も仕事終わったらもう疲れて家まで帰れずによく当直室で寝ていました。特に冬は心臓疾患が増えるため、10日の待機日のうち9日間は夜に緊急オペで呼び出されたこともあるくらい頻繁に緊急オペがあったため、家に帰るより病院で寝泊まりした方が本当に楽だったのです。

さらに鞍上更生病院では周産期センターもあったので、帝王切開の緊急オペもよくありました。こちらは他の緊急オペよりも時間的余裕がないので、産婦人科ドクターから連絡がある時は「3分後にはオペ室行きます」というような感じで、家にいたらどうしても遅くなってしまいます。胎盤剥離や出血などあったらもう待ったなしです。

ぐっすり熟睡している状態から電話で起こされ、その3分後には心臓が止まりそうになっている患者さんに輸液や輸血をポンピングで送り込む、そんなことが当たり前に起こる病院でしたので、それはもう大変鍛えられました。そのハードな経験から、どんな状態からでも一瞬で切り替えて仕事に入れる技を身につけました。自慢じゃありませんが、どんな状態からでも瞬間的にスイッチを切り替えて仕事に100%集中できます。例え嬉しいことや悲しいことがあっても、どんなに気になることがあっても熟睡している状態からでも切り替えて入り込みます。

注入治療はプチ整形という響きとは裏腹に実はかなり繊細な作業で高い集中力を施術中ずっと保ち続ける必要があります。リスクも高いし何より綺麗なバランスに整えるにはかなり細かく考えながら注入しなければならないからです。施術が始まった瞬間からはもう待ったなしなので、その前にどんなことをしていようと治療に入ったら頭の中を目の前の患者様100%にしなければなりません。

麻酔科、外科と美容、一見離れているように見えても培った技術や経験は応用できます。それは単純に針やメスを使い慣れているから美容でも得意でしょ、という技術的なことだけでなく、集中力の切り替えやリスクコントロールの考え方など、表面的には見えないけど実はかなり応用できていることがたくさんあります。でもそれを活かすかどうか、気付けるかどうかは人それぞれ。無用のものから有用にできるか無用のままにしておくか、無駄を無駄のままにしてしまうか有意義なものに昇華させるか。

私の考えをもう一度言うと、人生において何一つ無駄なものはありません。全部繋がっています。過去があって今の自分があります。

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