たれ目院長ブログ 〜ヒアルロン酸注入治療は「一注入魂」〜

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ヒアルロン酸注入治療って、手技だけを見ればただ単に針を刺してゼリー状のものを押し出すだけ、という至極単純な作業なんですよね。しかしヒアルロン酸を体内に注入することによって顔の形は変化し、顔形は良くもなれば悪くもなるリスクがあります。

さらには血管内にに注入されてしまうと皮膚の血流障害、あまりに酷いと皮膚壊死や失明のリスクもあるという、単純な作業だからと言って簡単では済まないリスクがある複雑な治療です。それがあるために注入治療以外の治療を選択するドクターもいるほど。

ですから、ヒアルロン酸注入治療というのは、ただ注射するだけではダメなんです。ただ注射するだけの「作業」であれば誰でもできます。もっと言えば医師でなくてもその「作業」はできてしまいます。たまに無免許のドクターが美容施術をしていて逮捕されるニュースがありますが、それも施術を作業と考えているが故でしょう。

でもクリニックでの施術は「治療」であり、決して「作業」ではありません。「作業」となってはいけません。治療には明確な目的と方向性があり、傷や負担を加えてでも患者様の状態を良くする、だからこそ医療行為というのもは存在し、医療行為にのみ「治療」が認められているのです。

「治療」に必要なのは資格、経験だけでなく知識や高度な技術も当然求められます。そして、そういったプラスの効果をしっかりと出すだけでなく、副作用や合併症といったマイナスの効果をどれだけ減らし、抑え、もし発生してしまってもすぐにリカバーできる知識と技術を持つこと、これも重要になります。

プラスの効果だけを強調して見せることは簡単だし患者様からの反応も良いでしょう。それとは逆に合併症を抑え、リスクを回避する技術や努力というのはあまり前面に出ることはなく、はっきり言って目立ちません。それでもこの非常に地味な努力と準備の積み重ねこそが「治療」を施す専門家である医師に求められる根本的な部分でないかと思います。

この、人からは見えない地味な努力を怠り、目に見える華やかな部分だけを追ったとすると、うまくいっている場合にはそれでも良いかもしれませんが、少しでも問題が出てくると途端に技術や知識の少なさが露呈してしまうこともあるでしょう。大変重要な要素と考えています。

具体的に言うと、ヒアルロン酸注入において最も避けたい合併症は血管内誤注による塞栓です。塞栓は誰にとっても嫌なものです。絶対に起きて欲しくはありません。しかし、治療に100%は存在しません。針を刺して注入する以上、塞栓を0%にすることは理論上できません。

できることは、リスクを少しでも、わずかでも低い方法を常に選択し続けること。0%は無理でも限りなく0%に近づけるあらゆる努力を全て同時並行で行なっていくこと。これしかありません。針を皮膚に刺した瞬間から一瞬たりとも気を抜くことなく、針先が血管に当たっていないか、構造的に危険な部位に針先が進んでいないか、通常は安全となる部位でも血管が入り込んではいないか、ここでは書き切れないことを全て同時に考えながら施術を行なっていきます。

もっと言えばその努力は針を刺す前から始まっています。刺す位置に血管が無いかを触診で確かめ、針の向きを確認してヒアルロン酸の広がりを想定し、針先が鈍っていたら組織を傷つけるかもしれないから鋭い針に換える、これらのことはいちいち口には出しませんが当然のこととして考えます。

日頃からの勉強も必要です。特に解剖学をよく勉強し、血管、筋肉、骨、神経、靭帯、脂肪、皮膚、などの基本的な配置、構造を頭に入れておくことは大事です。というかこれらの知識なく注入治療をするのは、地図もコンパスも持たずに目隠しで森の中を歩くようなものです。準備していてもトラブルはあるものなのにこれでは事故に遭わないわけがないでしょう。

私の注入治療におけるモットーは「一注入魂」です。一針毎に全集中で施術していきます。例えその一針で注入するのが0.01ccであっても。これは比喩ではなくて実際の話です。細かく治療する際にはヒアルロン酸を0.01cc単位で注入していきます。

顔中にしっかりとした治療をする場合、左右合わせて30〜40箇所に針を刺すことがあります。そんな場合であっても、一瞬でも気を抜いて針を刺すことはありません。血管に近いところとそうでないところでは確認行為に差があることはあっても、注意力と集中力には差がありません。あえて言えば、比較的安全な部位の集中力が120%だとすると危険なゾーンの集中力は200%ぐらい、というような違いでしょうか。

この一針一針にそこまで全集中で、まるで命かけてまで刺すような気合と集中力は、多分私が恐がりのビビりでオタクだからでしょう。自分でもちょっと異常なくらいかなと思っています。他のドクターがやるように、もうちょっと軽やかにサクサクっと、鼻歌でも歌うような感じで出来ないのかと自分でも思うのですが、いざ注入となるとその瞬間からもう全く気を抜けなくなってしまうのです。

ほとんど病気じゃないかと思いますが、患者様にとっては悪いものではないかと考えると、まあいっかとなります(笑)

私の目指すのは、注入治療のクオリティをとことん高め、患者様の悩みを改善してリクエストにとことん応えること、でも塞栓は絶対に起こしたくないのです。絶対に塞栓しない注入治療というのは存在しませんが、でも絶対に塞栓は起こしたくないのです。必要なのは知識と技術と経験に加えて、気合と根性。それはつまり注入治療にかける「想い」ではないでしょうか。

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