たれ目院長ブログ ~ヒアルロン酸治療 顎(あご)~

鼻から顎

アジア人は欧米人に比べてアゴが小さい傾向があり、鼻、額と並んでアゴの形を整える治療は老若男女全ての方に人気があります。ただし、額や鼻よりもアゴの形の悩みは幅広く、したがって治療のバリエーションも自然と多くなります。例えばアゴを形作ると言っても、先端を下に伸ばすのか前にのばすのか、斜め下なのか全部なのか、はたまたアゴ先端の左右のラインもどこまで整えるのか、といったように上下、前方、さらには左右の部分もアゴの一部になるためそこにつながる部位までをバランスよく治療しなければなりません。

 

以前に他院でアゴにヒアルロン酸注入してバランスがおかしいので溶解治療をしたいと来られた方がいましたが、アゴの先端一カ所に通常では考えられないほどの量が入っており、なぜこの位置にこれだけの量を入れてしまったのか?、と疑問に思ってしまいました。おそらく施術したドクターはアゴへの治療は不慣れだったのかあまりに軽く考えていたのでしょう。その方はアゴの先が丸く膨らんでおり、明らかに変な形になっていてかわいそうだったので、ヒアルロニダーゼを計算しながら注入し、なんとか希望通りの形にもっていくことができました。

 

・アゴへのヒアルロン酸治療が適している人

アゴが小さいなあと感じている人、丸いアゴをシャープにしたい人、頬のたるみを改善させたい人、首のたるみを改善させたい人、フェイスラインをシャープにしたい人、というようにかなり多くの人が適応となります。特に意外と思われるのが、たるみを改善させてフェイスラインを整えるという効果。これはMD-CODESの一部でもあり、下顎の骨が委縮して起こるたるみに対してボリュームロスを改善する治療として重要なのです。

たるみ治療としてのアゴへの注入はMD-CODESを使用したたるみ治療の時に詳しく解説するとして、ここでは単純にアゴの形を整える場合について説明します。

 

・アゴへの注入バリエーション

まずよくあるのが単純にアゴを伸ばす場合。前から見てアゴが小さい方はアゴを伸ばすことで顔全体のバランスが良くなります。アゴが小さいと判断するのは大きさの比率を見ます。鼻から口、口からアゴまでの比率が1:1.5以下だと小さいと判断し、それが1:1.5以上になるようにヒアルロン酸注入します。欧米ではそれが1:2くらいが理想と言われることもありますが、アジア人で1:2にするとさすがにアゴが大き過ぎると感じるので、それ以下の範囲で調整するのが良いと思います。

 

 

上のイラストは理想的な比率であり、鼻から口、口からアゴの比率は約1:2となっています。これが1:1となるとかなりアゴが小さいと感じますが、アジア人はこれくらいアゴが小さい人もけっこういます。1:2の比率を越えてアゴを伸ばすととたんにバランスが悪くなるのでこれは注意です。

 

次にアゴの大きさはあるけど横から見て前後のバランスを整えたい場合。一つの基準となるのは鼻先から唇、アゴを結んだEラインが一直線になること。たいていは鼻と唇を結んだラインよりもアゴは後ろへ奥まっているので、アゴを前方に出してEラインがそろうように形作ります。同時にアゴが丸まっている人は角となる部分をヒアルロン酸で尖らせって、シャープなアゴ先を作っていきます。アゴが丸い人は、アゴ先の皮膚を引っ張るオトガイ筋が硬くなっていることが多いので、アゴへのボトックス注射と組み合わせることも非常に有効となります。

 

横から見ると、少しアゴ先を前に出すだけでEラインがそろって、横顔がきれいになります。世界的な標準ではEラインより奥に上下の唇があると理想的と言われますが、そこまでいかなくても十分きれいだと思います。ただし、いくら理想的な形、比率とはいえ急に変化すると違和感も大きくなるため、実際には1回の治療では違和感の出ない範囲にして、数回にわけて治療をする方が自然で違和感なく変化していきます。

 

アゴが全体的に小さい場合はアゴの先端だけでなく左右にもしっかりとボリュームを持たせて、フェイスラインが整えられるように考えながら施術します。さらにはアゴを下方向、前方、斜め下、全ての方向にボリュームを出して形作ります。このように全体的にしっかりとボリュームを補いつつ出す方向を微調整するのにはヒアルロン酸が安全で適した製剤ですね。

上の赤矢印のように、色んな方向へ伸ばして理想的な形、ラインを作っていきます。もちろんどの方向にどれだけ伸ばすかは経験とセンスが求められます。

 

・副作用、注意点

アゴへのヒアルロン酸注入は意外と皮下出血が発生し易いです。口は絶えず動かすので微小な出血が止まり難いのかもしれません。ただ、アゴの下側に出血してもあまり目立たないのは良い点ですが。他には、アゴの周囲には重要な血管がありますが、そこはアゴのエリアからはかなり離れているのでまずあたってしまうことは考えにくいでしょう。つまり、皮下出血以外にはアゴは比較的併発症が少なく、重大なリスクも低い場所で、治療をする方もされる方もそれほど深刻に考えることなく行える場所かと思います。ただし、注入する量や場所を間違えると不自然な仕上がりとなるので、そこはいつも通りドクターの技術とセンスが求められるところです。他の部位よりもバリエーションが多いため、それぞれのアゴの形に合わせて治療プランを決める際のアセスメントが非常に重要になってきます。

 

・費用

治療費用は使用するヒアルロン酸の量で決まってきます。当院では承認品のアラガン社製ヒアルロン酸を使用し、1ccが¥75000円(税別)であり、アゴ先の少し伸ばしたいだけであれば1㏄もあれば十分です。アゴを下にも前にも伸ばし、かつ左右からのフェイスラインも整えたい場合は2㏄程必要になり、もともとのアゴがかなり小さい人はしっかりとしたアゴ、きれいなフェイスラインを作るためには3㏄は必要となってきます。

 

・治療の流れ、時間

洗顔し準備を整えた後、アゴにヒアルロン酸を注射していきます。施術時間は約10~15分程と、思った以上に早く終わります。その後止血しながら医療マッサージで形を整え、施術終了となるので、メイク直しをしてお帰りいただけます。化粧は針孔に注意して行えば大丈夫です。皮下出血がなければ誰も注射をした後とはわからないと思います。その後にショッピングもできるとなれば、これはショッピングリフトのヒアルロン酸バージョンと言えるでしょう。ネーミングはショッピングヒアル…?。ちなみに下の写真はアゴの一部へのヒアルロン酸注入です。年々引っ張り上げられて短くなるアゴをふっくらと柔らかく伸ばすポイントで、アゴの形によってはこのような特殊なポイントも使用します。

 

・治療の前後比較

標準的な治療です。リフトアップと同時にアゴ先を斜め下へ形作り、シャープなラインにしています。リフトアップしているので頬の位置も上がっていますね。アゴ先を少し伸ばすことはアゴの形をきれいにするだけでなく、アゴ下から首のたるみも引っ張り上げるので、首のたるみも減らす効果があります。症例写真でもその変化がわかりますね。

この症例も同じで、アゴのラインがシャープになると同時にアゴしたから首のたるみも改善されているのがよくわかります。

 

 

この症例ではアゴの長さは十分あってバランスがよかったので、下ではなく前へ伸ばし、Eラインがそろうように注入しました。仕上がりがナチュラルだと言われなければわからないですが、治療前と比べるとすっきりとしたライン、バランスのよい大きさになっていることは一目瞭然。ちなみにちょっとリフトアップもしてあります。治療後の写真は化粧してある状態なので、ラインや形に注目して見てください。使用したヒアルロン酸はリフトアップ含め2㏄(2本)です。横顔は自分では見ないのでラインの崩れているのに気付かないですが、人からはけっこう見られるのできれいにしておいて損はありません。

 

 

最後に正面から変化を見た症例。たるみに加えてアゴが短く、丸くなってしまっています。治療内容は頬のリフトアップ、小顔ボトックス、アゴ先へのヒアル注入で、使用したヒアルロン酸は4本です。アゴを少しだけ伸ばすことで鼻と口とのバランスが良くなり、さらにリフトアップされた頬のラインがきれいにアゴ先までつながり、四角かったフェイスラインが逆三角形、V字のフェイスラインになっています。この方のもともとのフェイスラインに戻しただなので、治療後の顔は自然で違和感なく、人と会ってもヒアルロン酸注入をしたことはバレることはありません。

 

 

・ヒアルロン酸注入 アゴ(顎)のまとめ

アゴの形やバランスは顔全体の印象に大きく影響を与えます。年齢に関係なくアゴの形に悩みを持っている方は多く、それに対して短時間で安全に治療が行えるヒアルロン酸は最適な素材だと考えています。ヒアルロン酸は注入する部位や方向、注入量を調節することで希望通りの形を作り出しやすく、持続期間も2年以上とかなりもつ上に、万が一のことがあれば溶解治療ですぐに治療前に戻ることができます。この2重、3重の安全策が用意できるのが他の製剤にない安全な要素と思います。

 

ただし、注意点ももちろんあります。アゴへの注入は簡単に考えるドクターがいるようですが、場所や量を誤るととたんに不自然な結果となってしまいます。形だけでなく、間違ったポイントに注入すると不自然なシワが発生することもあります。失敗したら溶かせばいいとも言いますが、無駄にヒアルロニダーゼを注射するのもリスクを伴いますし、やはり最初からきれいな形に仕上げるのがベストです。そのために重要なのはアセスメント! 患者様が何を悩みにしていてどのようにしたいのか、それをよくヒアリングして、こちらが提供できる治療とよくすり合わせてから治療に入ることが大事です。

 

 

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ラベールミラクリニック

〒460-0008

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