Temple dentこめかみの凹み

こめかみの凹みについて

1. こめかみの構造と凹みの発生

こめかみは顔の側面、具体的には額から頬骨にかけての部分です。この部位は、加齢とともに凹みが現れやすく、早い人では20代から、遅くとも30代には目に見えてくることが一般的です。
この凹みの主な原因は、こめかみ周辺にある脂肪や筋肉の減少にあります。もともと丸みを帯びた前頭骨(額の骨)がこめかみの部分で急に途切れる形状になっており、その下には側頭筋や脂肪が存在します。若い頃はこれらの組織によってこめかみがふっくらとした形を保っていますが、加齢によって脂肪が痩せ、筋肉も減少することで凹みが顕著になります。

2. こめかみの凹みによる見た目への影響

こめかみの凹みが進行すると、顔の輪郭にゴツゴツとした印象を与え、顔全体が大きく見えることがあります。また、凹みにより疲れた印象を与えたり、老けて見えたりすることがあります。皮膚が痩せてくると、支えを失った皮膚が余り、目尻にたるみやシワが生じやすくなります。
さらに、こめかみの凹みは目元に特に大きな影響を与えます。目尻の皮膚が垂れ下がり、シワが深くなることで、疲れた印象や老けた印象を強調します。さらに、女性の場合、眉の形にも影響が及びます。眉尻が下がり、眉全体が外側に広がると、眉の描き方や形が変わり、顔全体の印象が変わることがあります。

3. こめかみの凹みを改善する治療法

ひたい注射

こめかみの凹みを改善する一つの治療法として、ヒアルロン酸の注入があります。ヒアルロン酸は、元々こめかみにあった脂肪の形を再現するために使用され、顔の輪郭を整える効果があります。ヒアルロン酸を適切な場所に注入することで、こめかみの形が元の丸みに戻り、顔全体の輪郭が若々しい印象を取り戻すことができます。
ヒアルロン酸を注入することで、皮膚が引っ張り上げられ、目尻のたるみやシワが軽減されます。ボトックスでは筋肉を緩めるだけで、力を抜いた状態でも存在するシワを改善することはできませんが、ヒアルロン酸注入によるリフトアップ効果でシワを伸ばすことが可能です。その結果、若々しい目元や眉の形が復元され、引き締まった表情になります。

4. 治療における注意点と合併症

こめかみの凹みを改善する治療はシンプルに思えるかもしれませんが、実際には高度な技術が求められます。特に、ヒアルロン酸の注入位置が重要です。浅い場所に注入すると、見た目は良いものの、動きによってヒアルロン酸が浮き上がり、形が崩れる可能性があります。そのため、深い層にしっかりと注入することが重要です。
しかし、深い層に注入する際には、血管に触れたり、動脈塞栓という重大な合併症リスクを伴います。最悪の場合、視力に影響を及ぼす可能性もあります。このため、治療を受ける際は、経験豊富で技術力のある医師に任せることが重要です。正確な理解と技術がなければ、治療の効果が出にくいだけでなく、リスクも高まります。

5. 注入材の選択肢とその特性

こめかみの治療には、ヒアルロン酸以外にもさまざまな注入剤が使用されます。例えば、脂肪注入やコラーゲン、PRP(血小板を利用した再生医療)、PN製剤などがあります。しかし、こめかみは特に皮膚や筋肉の圧力が強くかかる部分であるため、これらの圧力に耐えられる弾力の高い注入剤が求められます。ヒアルロン酸は、現時点で筋肉や皮膚の圧力に耐え得る注入剤として最も適しており、長期的な形状維持が可能な素材として第一選択となります。
ただし、柔らかいヒアルロン酸を使用すると、圧力に負けて形が変わりやすく、治療効果が薄れる可能性があります。そのため、柔らかいヒアルロン酸は表面的な治療には適していますが、こめかみのように骨格矯正が必要な部分には硬さのあるヒアルロン酸が最適です。最適な弾力のヒアルロン酸を使うことで、より自然な仕上がりが期待でき、顔全体の印象もより若々しくなります。

6. まとめ

こめかみの凹みは、加齢とともに多くの人が経験する現象であり、顔全体の印象に大きな影響を与えます。適切な治療を行うことで、こめかみの凹みを改善し、若々しさを取り戻すことが可能です。特にヒアルロン酸注入は、こめかみの治療において効果的であり、顔の輪郭を整え、リフトアップ効果をもたらします。しかし、治療にはリスクが伴うため、信頼できる医師のもとで安全に行うことが重要です。