なんと三部作となってしまった今回…
前回までのおさらい
カニューレが安全とも限らない。というお話でした。
これまでのお話だと
針でもカニューレでもやっぱり怖い!という気持ちになった方もみえるかもしれません。
不安を煽ってしまって大変申し訳ありません。
しかしながら、これまでお話した話は事実で
絶対に安全!スクゼロと言える方法はありません。
そうなると極端な話、安全であるためには注入しない。
これに限るのです。
ただし注入しなければ治療ができません。
悩んでいるほうれい線は改善しません。
ではどうするか。
医療はどこまでいっても医療であり身体に少なからず侵襲があります。
美容医療は魔法ではありません。
許容する範囲のリスク(痛みや内出血など)を取りながら
血管塞栓のような大きな有害事象を起こさないように細心の注意を払い
しっかりと効果を出す。このバランスがとても重要です。
と、長い前置きをしたところで(350字)
ほうれい線には針か、カニューレか。
について私の見解をお伝えします。
ほうれい線にはこんなアプローチ
当院の方針として、ほうれい線という溝を直接埋めるのではなく
緩んだ組織構造を上に外側にテンションをかけながら
最終的に鼻翼基部と呼ばれるエリアを下から持ち上げます。
この鼻翼基部、元から窪んでいる人もいれば
年齢とともに骨萎縮で窪んでくる場所でもあるので
ほぼ全員に必要な治療ポイントとなります
(巷では貴族フィラーと呼ばれています)
原因が骨萎縮であれば何を使うか。
そうです、ピンポイントで針を使っていきます。
ピンポイントで起こすことで明確にほうれい線が薄くなります。
さらに。
このポイント、血管塞栓の好発部位です。
顔面動脈という大きな血管が近くを通っているため非常に危ないのです。
そのため針での逆血確認にかなり時間をかけて
絶対に針先が血管内には入っていないということを確認して
ゆっくり、ゆっくりと、慎重に注入しています。
針を使うことによって、
安全性を担保しながらピンポイントで起こして確実な効果を出すことができます。
これらの理由から
私は鼻翼基部のポイントには、第一段階として針で治療することが多いです。
カニューレで鼻翼基部はどうか
ではカニューレは使わないかというと、使います。
鼻翼基部もその窪み方はそれぞれで
ピンポイントに起こすのには限界があることも多々あります。
そんなとき、第二段階としてカニューレを使用しています。
鼻翼基部の窪みは三角形になっていますが
この三角形をピンポイントに持ち上げたあとに
さらに面で持ち上げることで
よりなめらかに窪みが持ち上がります。
最初から面で持ち上げることは不可能ではありませんが
やはり土台の骨がないところに面を置いても
イマイチ効果を発揮しないというのが
理論的にも経験的にもあります。
そのため、私は鼻翼基部の治療をする際には
第一段階は針でピンポイントに置き
第二段階でカニューレで面で起こす
がスタンダードとしています。
カニューレの安全性
カニューレを使用するときの安全性に触れていませんでした。
前回伝えたようにカニューレは逆血確認がしにくいことから
安全なような安全とは言い難いような立ち位置であるのですが、
基本に立ち返ります。
カニューレは正しく使えば安全に治療ができます。
カニューレに余計な力を加えず、
より繊細に、より丁寧に扱うことが重要です。
この鼻翼基部に辿り着くまでには
口周り〜鼻にかけてたくさんの筋肉を超えていく必要があります。
カニューレがうまく進まない時に
ついつい力任せで通り抜けたくなるところをグッと堪えて
力を抜くことで針先が滑って、
逆に通るべき部位をすり抜けていく作戦で
余計な力を加えずに進むべき道を進んでいくことができます。
力任せで進めると血管に入ってしまう可能性がありますし
患者さんの痛みも伴います。
入れたい層にたどり着いたら
時間をかけて何度も逆血確認をして
少しずつ注入をしています。
このように、
完全にリスクをゼロにはできませんが
なるべくゼロに近づけるように努力をしています。
ということで。
お客様から「どちらが安全ですか」
の問いに対してここまでの説明をします。
どちらも安全とは言い切れない。
安全とは言い切れないからこそどうやってリスク回避をしているか。
安全性を高めながら効果を出すためにはどうすべきか。
私の現段階での見解でした。
とはいえ、あくまでスタンダードの話ですので
人によってアプローチ方法は変わります。
大切なことは
安全を最大限考慮しつつ、結果を出さなくてはいけない。
そのために
ツールを理解して、使いこなす必要がある。
そして
最も危険なことは安全と思い込むことである。
というまとめで締めさせていただきます(合掌)
2000字のブログを、最後までご覧いただきありがとうございました;;
それではまた◎
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