ヒアルロン酸注入と脂肪注入ってどこが違うの?

先日患者さんからこんな質問を受けました。

今日はカウンセリングでお話したことを

まとめてみます。

ヒアルロン酸注入と脂肪注入はどちらも

ボリュームロスを改善する治療ですが、

さまざまな違いがあります。

① もち

ヒアルロン酸製剤は時間と共に吸収され減っていきます。

この点は一度生着したら長くもつ脂肪と比較されるところです。

ヒアルロン酸製剤のもちに関してはある論文によると

1年後70%以上、2年後50%以上のヒアルロン酸が残っていた、

すべて吸収されるのは5−6年後かそれ以上と報告されています。

思ったより長持ちするものではありますが、

減ってきたなあ、物足りないと感じたらまた注入することになります。

何度も治療するのは嫌という人は脂肪注入が向いているかもしれません。

しかしヒアルロン酸製剤の「吸収されてしまう」性質はデメリットばかりとは言えません。

長く効果があるということは、年齢を重ねた時に治療した部位としていない部位の差が目についてくるかもしれないということです。

今なりたい顔が10年後20年後も同じとは限りません。

ヒアルロン酸注入は

「その時々でどうしたいのか決めることができる治療」とも言えます。

もちをどう捉えるかによってどちらが良いかは変わってきます。

②    なかったことにできるかどうか

ヒアルロン酸製剤はヒアルロニダーゼで溶かすことができます。

溶解しなければいけない状況にならないことが一番ではありますが、オーバーな結果や左右差が生じた際ボリュームダウンできることは大きなメリットです。

脂肪注入は入れすぎた時対処が難しい治療です。

③  ダウンタイム

ダウンタイムは一般的にはヒアルロン酸注入の方が軽微です。

注入部位や注入量にもよりますが、

痛みや違和感は4−5日かけて減っていきます。

内出血は全くない場合から消えるのに2週間ほどかかる場合もありますが、多くはお化粧で隠せる程度です。

治療後に明らかな腫れや傷がなく、「バレにくい」のがヒアルロン酸注入の良いところです。

脂肪注入は吸引部位(大腿など)と注入部位の両方でダウンタイムがあります。

吸引部位は、

腫れ、赤みが1週間、内出血が2週間、拘縮(吸引部位が硬くなる)が1−3ヶ月

注入部位は、

腫れ、赤み、膨らみが1週間、内出血が2週間

注入した脂肪はすべてが生着するわけではなく、生着率は30%程度と言われています。

そのため多めに注入するので一旦腫れや膨らみが出ます。

④ 精密さ

精密さはヒアルロン酸注入の最も得意とするところです。

左右差をそろえたりラインや面を整えるために0.1ml単位で注入します。

また何度かに分けて少しずつ治療することも可能です。

 

脂肪注入はどれだけ生着するかがはっきりしないため、精密な治療は難しくなります。

⑤治療部位

脂肪は柔らかいのに対し、

ヒアルロン酸製剤は硬さの違う製剤が何種類かあります。

その違いが治療部位の違いです。

頬のコケ、目の下、額、こめかみをふっくらボリュームアップさせたい場合はヒアルロン酸、脂肪のどちらでも治療できます。

顎、フェイスライン、下顎角などの形を作りたい場合や

骨膜上に注入して骨格を若返らせる目的で注入する場合は

ヒアルロン酸を注入します。

また、リップやほうれい線などよく動かす部位は脂肪が生着しにくく、ヒアルロン酸の方が向いています。

⑥アレルギー、遅発性有害事象の可能性

脂肪注入は自分の脂肪を注入するためアレルギーのリスクはありません。

ヒアルロン酸製剤によるアレルギーは稀ですが、

ヒアルロン酸を注入して1ヶ月から1年後に注入部位が腫れる遅発性有害事象が、0.5−1%くらいの確率で起きます。

炎症を抑える治療で多くは軽快しますが、脂肪注入にはない合併症です。

⑦質感

額、こめかみに注入した時、脂肪では柔らかい質感、印象になります。

ヒアルロン酸製剤は硬さがいろいろあるのでどう使うかで質感は変わります。

やや硬めの製剤の方が自然な仕上がりになるかなと思います。

⑧コスト

例えば額の場合、1回あたりのコストはヒアルロン酸の方が安価かもしれません。

(注入量を3−4mlとして)

でも何度もヒアルロン酸を注入するなら、もちのよい脂肪注入の方がコスパが良くなってきます。

まとめ

ヒアルロン酸注入と脂肪注入のどちらを選ぶかは、

患者さんが何が嫌で何が許容できるかです。

ダウンタイムが嫌、少しずつ治療したい、

いざという時溶かせる方がいい方は

ヒアルロン酸注入

もちの良さ、自分の脂肪を使う安心感、コスパが大事という方は脂肪注入

が向いているかもしれません。

部位によって分けるという手もあります。

ただし、同じ部位にヒアルロン酸と脂肪を注入する場合は注意が必要です。

先に注入してあるのがヒアルロン酸の時は、溶かしてから脂肪注入することがあります。

 

今日はヒアルロン酸注入と脂肪注入の一般的な違いについてまとめました。

ラベールは注入専門クリニックですが、

注入治療以外の治療についてもできる限り情報提供しています。

クリニックのホームページを一緒に見ながらお話したり、

医師の間で評価の高いクリニックを紹介することもあります。

患者さんが他の治療も考えているのであれば、

最適解に辿り着くサポートをしたいと思っています。

そして、

患者さんがそれぞれの治療を理解し自分の意思で選んだ結果が

注入治療であれば全力で治療させていただきます。


こちらは4月の初級セミナーの一コマ

先生方の前で話したり注入したりすることは

ラベールに在籍するからこその経験

ありがたいことです。