みなさんはSNSをどれくらい見ていますか?
私は自分で「携帯中毒だな」と思うほど携帯を見ているので、SNSを見ている時間も比較的長いです。中でも、仕事用アカウントがあるインスタグラムは頻繁に開いています。
最近のAI機能の発達で、フォローしていないのに興味があるかもしれない情報が自動的に流れてくることが増えました。私のアカウントは美容医療に関する情報が多いため、関連する投稿が一気に流れてくるのですが、たまに目を疑うような投稿を目にすることがあります。
例えば、SNSでは「合併症なし」「ダウンタイムなし」などといった表現です。
私は診療の場で、100%大丈夫だとは言いません。医療である以上、リスクゼロは存在しないからです。
しかし、
こうした投稿を信じてしまう患者さんが、残念ながら一定数いることは事実です。
実際に合併症が起きたり、ダウンタイムが想定より長引いたりすると、大きな不信感を抱いてしまいます。
そうなると患者さんが納得のいく医療には繋がりません。
では、患者さんたちは何を信じればよいのでしょうか。
実はこれは医師側も常に考え続けている問題です。
美容医療では、新しい製剤や機械、治療法が次々と発表され、その多くが「すごくいい」と評価されます。しかし、しばらくして市場から消えてしまうものも少なくありません。
実際に使われる中で、期待された効果が得られなかったり、予期せぬリスクが見つかったりするためです。
論文を参考にすることも一つの手ですが、論文の信頼性はエビデンスレベルによって異なります。大規模な臨床試験やメタアナリシスは信頼性が高いものの、観察研究や症例報告では偏った結果が示されることもあります。また、エビデンスの構築には時間がかかるため、最新の治療については十分なデータが揃っていないことも多いのです。
こうした中で、私たち医師は日々、新しい情報を収集しながら、自分の臨床経験と照らし合わせて最善の判断を下しています。
患者さんも、SNSやネットで得た情報を鵜呑みにするのではなく、極端な表現を使った投稿には注意を払うことが大切です。「絶対」「完全に」などの言葉は医療においてほぼ存在しません。
また、治療を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットやリスクについても十分に理解することが重要です。
最終的には、信頼できる医師としっかりコミュニケーションを取り、納得したうえで治療を受けることが一番です。 医療も情報も、疑いながら慎重に選び取る姿勢が、後悔のない選択につながるのではないかと思います。
SNSと医療情報の受け止め方
