たれ目院長ブログ 〜終わりがないように見える若返り治療、輪郭治療ですが実はゴールがあります〜

ボトックス注射、ヒアルロン酸注入は一度手を出したらやめられない、やり続けないといけない、というイメージを持っていらっしゃる方がいるようですがそんなことはありません。実は注入治療には明確なゴールというか到達点があります。そこで止めて維持するのも良いし、それを超えると今度は基準の無い世界に入りますので、なおさら何を目指すか、何を持ってゴールとするかを治療前から決めておく、考えておくことが大事になります。

その到達点というのは「骨格に合わせたライン」。

まず若返りの注入治療で考えると、そもそも老けてたるんだ状態というのは頭蓋骨にキレイに肉付けされた若い頃の顔のラインから大きく崩れた状態。ある部分の皮膚は重力に従い下に垂れていきある部分の脂肪は膨らみ、筋肉は膨らんで硬くなって顔のラインを大きくし、ある部分は痩せてどんどんこけていく。

これらの変化は大部分戻すことが可能なのです。痩せてこけた部分にはヒアルロン酸を配置し、硬く大きくなった筋肉はボトックスで小さくし、膨らんだ脂肪は脂肪溶解注射やHIFUで縮めていく。若い頃の組織配置に戻しながら各ラインのバランスを整えていくと、若返り治療をしながら整ったお顔にしていくことができます。

頭蓋骨に合わせた形、骨格からできる整ったラインこそが一つの到達点であり治療のゴールとなります。ここで治療を終了すると若く整ったお顔となり、あとはそれをどれだけ維持したいかによって治療スパンが異なります。

整った状態をたるませることなくずっと維持させたい場合には数ヶ月毎に細かくメンテナンスしていく方もいますし、かといって1〜2年経っても治療前の状態には戻らないのである程度楽しんだ後にちょっとまとめて治療する方もいますし、人それぞれで決まった間隔はありません。

逆に、もう治療に満足していてその後の維持は特に考えない場合には追加の治療は無し、つまり治療卒業でも良いと思います。いつかはヒアルロン酸が吸収されボトックスの効果が切れてくるでしょうが、治療前の顔よりも崩れるわけではありませんので、治療し続けなくてはいけないということはありません。

注入治療による若返りはずっとその形を維持するものではありません。一旦時間を巻き戻しておく治療であり、そこからまた時間がスタートします。治療後にまたリフトアップしたくなった時が次の治療タイミングであり、それが無ければ続ける必要はありません。でもまたリフトアップしたくなったら治療は必要になりますが。

骨格に合わせたラインの治療イメージです。本当はもっと複雑ですが簡単に説明します。

 

上の頭蓋骨に対して赤のラインがたるんでズレたラインであり、それを2つ目のイラストのように青いラインに近づけていきます。この時に、ずれたラインの中でも骨にくっついている部分があり、これが重要です。黄色矢印の部分は皮膚が骨にくっついた部分であり、このポイントを基準として前後左右のずれたラインを合わせていきます。そうして出来上がるのが骨格に合わせたラインであり、治療の一つのゴールです。

額を丸く厚みを出して目の上のリフトアップをする時も同じで、横から見ると眉の高さと頭頂結節と呼ばれる額の膨らみの頂点、そこを意識します。その間や周りから痩せてこけていくので、この2点(黄色矢印)の高さは残しつつ周りのラインを持ち上げてつなげていきます(青ライン)。

そうすると丸くてツルッとした額になり、シワは薄くなって目の開きが軽くなってきます。かといって自分の本来の骨格から成るラインなので、丸過ぎるということにはなりません。

自分の骨格の一部を残したラインが本来の顔のラインに近いと考えると、そこまでの治療は戻す治療、すなわちアンチエイジングとなり、そこから先の領域は本来の骨格を超えてラインを整えるため、作り出す治療、いわゆる美容医療の領域に少し入っていくことになります。実際には骨格全体にボリュームロスが起きているためそれほど単純な話では無いですがあくまでイメージとして。

ちなみにこのテクニックを応用していくと年齢に関係なく輪郭治療が可能となります。若い方であっても人より早く痩せてこけた部分が現れやすかったり元々骨格的に凹んでいたりすると、その人の骨格に合わせてバランスの良いラインに注入治療でそろえてあげるとお顔はちゃんと若々しく、それでいてスッキリした表情であったり優しい、かわいいといった印象に近づけていくことが可能です。

その時もまた自分の骨格の一部を基準とし、それを利用したラインが一つの到達点と考えます。そこに合わせていく過程は若返り治療と同じ様な感じで進みますが、輪郭治療の場合はその基準が少し離れたところにあることが多くなります。

例えば、面長感をなくすために顔の幅、丸みを調整したり、骨の形以上に丸いオデコ、高い鼻、尖った顎先、それらの部分は治療している部分だけを見ると骨の形を大きく超えているように見えますが、実は他の基準点に合わせたラインに合わせていて、そのバランスが良い範囲内で収めています。その範囲を超えると途端にバランスを崩すリスクがあるので、施術者はそのバランスと限界点を見極めることが非常に重要になります。

このように、自分本来の骨格をもう変えているように見える治療であっても実はその骨格が本来持っているバランスの良いラインにそろえているだけであり、作り変えているわけではありません。だからこそ治療して、部分的には大きく変わっていても顔全体を見ると意外と変わってないというか、ちょっとスッキリしたけど別人の様には変わってない、というナチュラルビューティーの治療が実現できるのです。

ただ、この治療を極めていくとかなりギリギリのバランスの線を攻めることになるので非常にプレッシャーがかかります。ほんの少しでもバランスを崩せば途端に違和感が出てくるからです。

さらに、人によっては骨格から成るバランスの良いラインを越えて変えたい、というリクエストがあります。骨格から成る基準点を超えた治療となると、それはアンチエイジング、輪郭治療を超えて新たなラインを作り出すいわゆる美容医療の領域に入っていきます。そこはもう基準の無い世界であり、明確に目的を決めて治療をしないとアンバランスになって思った通りにキレイにならない、と大変なことになります。

できないわけではありません。技術的には可能です。大事なのはできるかできないかではなく、本当にその治療をして、その結果の印象が自分の希望するものと一致しているかを良く考えること。

そのため、そのような希望がある患者様と会った時、私はすぐに治療しましょうとは言わず、本当にそうなりたいと思っているか、治療による変化は自分のイメージと合っているか、を時間かけて相談します。人によってはもう面倒くさいと思われるかもしれませんが、それだけ自分本来の顔、印象を変えることは重大事件となることを知っているからです。

もし患者様の考えること、希望がイメージと合っていて、しっかりとした意思を持っていることを確認できたらようやく治療をしていきます。ただしそれは一度に大きくは治療しません。大きく変化させると、万が一患者様が思っていた変化とズレていた場合、戻すのが大変になるからです。

本来の顔の持つ印象を変化させるというのは皆さんの考えている以上に大きな影響を持ちます。言い換えればそれは、AKBの10代のアイドルが米倉涼子さんの様な顔になるということ、もしくは東京の地下鉄で言えば丸の内線から銀座線に乗り換えるというくらい行き先が変わってしまうことを意味します。

でも少しづつ治療すれば、イメージと違ったということを防げます。路線を乗り換えて終点まで行ってしまうと乗り換え前とかなり離れた目的地に行ってしまいますが、まだ乗り換えの通路の段階、乗り換える路線のホームの段階、乗り換えて1〜2駅進んだ状態、それぞれで治療を止めれば自分の求めるものと行き先が一致しているかどうか、間違って乗り換えようとしていないか気づくことができます。

骨格の基準を超えた治療はもはやゴールの無い世界。基準となるものがないためどこまでも作り出せるしどこまでも変化させることができてしまいます。基準がないからこそ明確に方向や目的地を決めて治療していかないと本当に迷子になってしまいます。注入治療でパンパンに大きくなってしまった人、扇風機おばさんの様な方はおそらく誰も基準や目指すべき方向、ゴールを指摘してくれたりアドバイスをしてくれるドクターがいなかったのでしょう。

または、アドバイスがあっても、自分の考えを優先し、希望する治療をし続けた結果、本来なりたかったお顔、印象を見失ってしまったのかもしれません。

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