たれ目院長ブログ 〜注入されたヒアルロン酸は腫れちゃうこともあります。私も腫れました。〜

ヒアルロン酸が腫れる状況、大きく分けて二つあります。一つはアレルギーや感染によって腫れるもので、これは抗生剤やステロイドなどを使って積極的に治療すべきぐらい腫れます。もう一つはそこまでの腫れではないけどちょっと腫れて、自然に改善するもの。

これがよく起こりやすいのは体調を崩した時やお酒、塩辛いものを摂って身体が浮腫んだ時など。身体が浮腫む時は水分が身体に多く含まれた状態で、細胞の隙間や脂肪部分にそれは溜まるわけですが、同時にヒアルロン酸にも水分が移動して浮腫みます。ヒアルロン酸も身体と同じように浮腫むわけです。

ただしこの腫れは一時的で、身体の浮腫みが改善されると同じようにヒアルロン酸の浮腫みも取れてきます。以前のヒアルロン酸は新世代のものに比べるとより多くの水分を吸収したので、一時的に腫れるのもより大きく腫れていたものでした。

また、体調を崩した時に腫れるのも身体の中での水分バランスが上手に出来てないから。正常な時でも細胞の水分とヒアルロン酸の水分は絶えず良いバランスを保つように作られています。それが体調を崩すとそのバランスを保つ仕組みも調子が悪くなり、いつもより水を吸ってしまい腫れることが考えられます。

タイミングとしては風邪をひいたり下痢嘔吐の症状が出てから1日〜数日遅れて腫れ、体調が回復してから数日かけて改善してくる、というように体調変化に少し遅れてヒアルロン酸の症状が出る感じです。

断っておくと、これらの情報はあくまで私見であり、文献や公式なデータに基づくものではありません。しかし注入専門ドクターとして日々ヒアルロン酸注入ばっかりしているおかげで他のドクターがあまり経験しないようなことも経験し、かつ自分にもしっかりとした注入治療を行なっているため実際に色々なことを体験しているので、そこからわかること多く、それに医学的な知識を掛け合わせて考えられることをまとめました。

特に身体の中の水分バランスというのは私はよく考えます。医師であればある程度考えるのは当然ですが、その中でも短期的な水分バランスを意識する麻酔科医であった経験が生きていると思います。

ちょっと話それますが、麻酔科医というのは手術を受ける患者の全身麻酔をかけるだけでなく、意識がない間の生命コントロールを行います。当然、意識レベルや鎮痛レベル、血圧や脈拍など色々なことを考えるのですが、その中の一つに水分バランスのコントロールがあります。

血管内の水分、血管外の水分、サードスペースの水分コントロールは長時間のオペであったり大量に出血するオペでは非常に重要になります。末梢血管の開け締め、サードスペースからの水分戻しなどを色々な薬剤を使い分け、数分から1時間単位という短い時間でコントロールします。

大量に出血するようなオペではその前に水分を多く入れてHbを3〜5ほど低くしておくと出血しても薄い血になり、出血がコントロールできた後に水分を出せば血管内の大事なヘモグロビンという成分が濃くでき、Hbの低下を抑えられるというわけです。その際も目に見えない体内の水分の量や含まれている場所、そこからどう移動するのかをイメージしながら行うのです。

人間の水分というのは皆さんの想像以上に変化します。ちょっと塩辛いものを食べると簡単に1L以上の水を蓄えて濃度を一定に保とうとしますし、脱水状態では2〜3Lの水分を簡単に吸収してしまいます。1Lとは1Kgですから、その分体重は変化するわけです。よく言われるのが、ダイエットし始めて1〜2日で1Kg、2Kg痩せたと喜ぶことがありますがそれは単に水分が出ただけで本当に脂肪が減ったわけではありません。

話を戻すと、ヒアルロン酸が急に腫れる場合、たいていは1〜2日ほどで浮腫むように腫れてきます。腫れたヒアルロン酸を触れるとカチカチに硬くなっているように感じるのでしこりになったと考えてしまうのも無理はありませんが、しこりや肉芽腫のような細胞の塊は1〜2日ではそんなに大きくはできません。しかもヒアルロン酸は腫れたあと、これまた1〜数日で縮んで元の大きさに戻るので、細胞の塊であったとしたらその縮む変化もまた無理です。

つまり、簡単に言うと1日でバンっと腫れて、うまくいけば1日でスッと腫れが引くとなれば、それは水分の移動でしかないわけです。

ヒアルロン酸はもともと水を吸収する物質で、1gで6Lの水を吸収できる話は有名です。ただし顔に注射するヒアルロン酸がそんなに水を吸っちゃ困るので、色々な方法で水を吸わないように作られています。しかしその仕組みが体調の変化や感染、アレルギーをきっかけに少し崩れてしまうともともとの性質が顔を出し、いつも以上に水を吸ってヒアルロン酸が浮腫んで腫れる、それを外から触るとしこりになったと感じる、ということが大なり小なり実は起こっていると考えられます。

治療としては一時的な腫れが疑われる場合には、抗アレルギー薬と利尿剤などを組み合わせてヒアルロン酸が吸収してしまったと思われる水分が早く出てくるようにします。これは放っておいてもおそらく自然に元に戻るのですが、なるべく早く戻るようにするために薬を使うこともあります。同時に体調変化があればそれが早く治るように気をつけます。

感染や遅発性アレルギーなどのように本格的な腫れであれば、まずはその原因に対してやや強めの治療を行います。感染が疑われる場合には抗生剤を投与し、アレルギーが疑われる場合にはそのプロセスを止めるためにステロイドを中心に使っていきます。うまくいけば数日〜2週間ほどで症状は改善し、ヒアルロン酸は元の大きさに戻って何事もなかったように綺麗なお顔に戻りますが、だらだらと治療すると治療に対する反応性が鈍くなり腫れが残ります。そうすると治療に時間がかかったり、最終的にはヒアルロニダーゼで一部溶解する必要も出てくるので、治療は最初からしっかりと行うのがポイントです。

私は自分の顔にヒアルロン酸注入をしっかりと行なっています。顔がでかいのでボリュームロスも大きくなり、平均的な体格の人よりも注入量が増えます(笑)。3年前に10数本の注入をし、昨年に18本の注入治療を自分で自分に施術しました。それ以外にも気になったタイミングでちょこちょこ注入しているのでもっと多く入っています。それだけ注入しても変な顔になってないのは治療が正しいから?(もともと変な顔の分は注入治療のせいではありません!!笑)

トータルフェイシャルトリートメントとしてしっかりとした注入治療がなされていて、かつ体力が意外となくて体調を崩しやすい私はヒアルロン酸の一時的な変化を身を持って体験しています。もう今は慣れたもので、飲み会の翌日に顔が浮腫んでる時、あ、ヒアルロン酸も浮腫んでるなあと思いますが放っておきます。下痢嘔吐で2L点滴した時はやや強く浮腫んだので早くひくように2日ほど軽い利尿剤を使いましたが。

リスクの全くない治療というのはありませんが、合併症に対して起こる確率、条件、症状などがある程度わかっていて、それに対する改善方法や対処法があり、原因も推測できるとなると、あまり怖がり過ぎなくても良いかなと思います。ヒアルロン酸は腫れることがあります。しかし原因は推測でき、対処法はあります。しかも施術するドクター自身が同じ治療を受け、腫れる症状も体験していますから安心、というわけではないですが、少なくとも患者様にやりっぱなしの治療ではありません。

 

(上は先日腫れていた時の写真。よく見るとわかる程度ですが本人は腫れているのを自覚してます。軽度の腫脹感と痛みまでいかないほどの痛み。)

 (上は昨年の注入治療直後の状態。見た目はあんまり変わらないかな…)

 

 

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