肩こりの原因は筋肉が硬くなりことによる血流障害だとか、筋膜の癒着と言われていますが、決定的な原因はまだわかっていません。その状況で、肩こり、偏頭痛をボツリヌス製剤で治療する寺本先生のセミナーに参加してきました。ボトックスを知り尽くした寺本先生のセミナーは大変勉強になるもので、治療だけでなく肩こり、頭痛の治療の歴史から学び、学生時代の講義を思い出しました。
ボツリヌス製剤は面白い薬で、神経の伝達を抑えることで筋肉の収縮を抑えることでシワを伸ばし、エラを縮めて小顔効果を発揮し、さらには汗を止めることで多汗症の治療やワキ汗を減らすことが可能です。また、最近ではマイクロボトックスと呼ばれる特殊な注射法で肌をつるっとする治療も人気です。皮膚のごく浅い部分に少量ずつ均等に注射するのには経験と技術が求められます。
寺本先生のセミナーでちょっと面白かったのは、海外では「肩こり」という概念ががなく、日本で一般的な肩こりというのはPAIN(痛み)として分類され、治療されるとのこと。肩がこるという感覚は日本独特の表現らしく、例えば英語ではそれに一致する言葉がないそうです。また、アメリカでは頭痛の治療に麻薬を使用し始めたら、麻薬に依存する事象が増えてしまって社会問題となり、その事態を改善したいと考えた政府は麻薬に代わる治療法としてボトックス注射の研究開発を推し進め、ボトックスによる頭痛治療に補助金が出るようになったのです。治療成績もボトックスの方が優秀で、麻薬依存の問題も解決できるとして広まっているそうです。
ボツリヌス製剤について勉強不足の部分もあり、セミナーは反省しながら受けていました。寺本先生も製剤は厚生労働省認可の薬剤があるのであればそれを使うべきだ、と考えており、アラガン社のボトックスしか使用していないとのこと。私もそのあたりについては全く同じ考えで、ただ安いからといって安全性や効果の安定性が不透明な未承認薬を使うことには抵抗があります。
実際、ボトックスは承認薬であるというだけでなく、効果が高くて治療の幅が広い薬であることを治療しながら実感しています。顔面けいれんの治療に始まりシワのばし、小顔治療、多汗症治療、肩こり治療、AGA治療、脚痩せ効果…、などなど、ここまでやるか、というくらい幅広い治療に使われています。最近では脳出血の後遺症で拘縮という固くなってしまった関節を柔らかくして改善する治療にボトックス注射が保険適応となったとか。
そしてボトックスの安心な点は、効果が永久に続かないということ。永久に続く効果というのは一見理想的な薬と思われそうですが、万が一の際の合併症もずっと長く残るということ。ボトックスは半年程度で効果が切れ、元に戻るから安心と言えます。それも、注射する前よりも悪くなるわけでなくて元に戻るだけなので、一度注射したらその後注射し続けないといけないというものではありません。
そんなボトックスを使った肩こり治療は、大きな副作用もなく注射後数カ月は嫌な肩こりから解放されます。マッサージに通ったりそれでも取れない肩こりに頭を悩ますよりは効率がよいかもしれません。治療時間は10分程度で、初めての方は説明に15~30分程度かかります。リピーターの慣れている方は施術のみで本当に10分もかからないくらいなので気軽に来ていただいてます。
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ラベールミラクリニック
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