「美容医療に関わる人の心理を行動経済学で考えてみる」

私は本をめちゃめちゃ読むタイプではありませんが、本屋に行くのが好きです。認めたくないですが、きっと父に似たのだと思います。
父も本の虫ではありませんが、本屋に行っては本を何冊も買っています。ただ、私も父もよく買うのは小説などではありません。レジ近くにある特設コーナーの流行り、注目の本が多いですw
学生の頃は実家に帰るたびに父の部屋に行き、積み上げられてる本を漁ると、読みたいと思ってた本が大体あるので勝手に持って帰っていましたw


そんな私が最近読んだ本の中の1つに、「勘違いが人を動かす」という行動経済学の本があります。それと同時に「カモのネギには毒がある」という行動経済学がテーマの漫画にもハマりました。

おや、今日は美容の話ではない?
もし美容のことを知りたい時は今日の話は飛ばしても良いかも?

と言われると何が書いてあるのか逆に読みたくなりませんか?このような人の心理を利用したのが手品におけるマジシャンズセレクション(好きなカードを選ばせて、その絵札をマジシャンが当てるマジック)であり、そのような行動をとってしまう仕組みを研究したものが「行動経済学」です。


行動経済学は簡単に説明すると、感情によって時に不合理な行動を取る現実の人間について研究された学問です。人の行動には心理、人情が影響し、冷静客観的に考えたらもっと利益のある行動やリスク少ない選択をするはずなのに、感情や環境がその判断を変化させてしまいます。

例えば、万年ダイエット中の私が仕事で大変な施術を終えてあとは帰るだけなのに、「疲れたから糖分とらなきゃ」とシュークリームをわざわざ買って食べる行為(結構よくあることなんですw)。これはかなり不合理ですよね。合理的に考えれば、お腹が空いてるから食事をする、低血糖気味だからお菓子を食べる、が普通であり合理的なのに、そこに何かと自分にとって都合の良い理由をつけてお菓子を食べる。食べたいから食べると言えばそれもある意味合理的なのに、あたかも今糖質が必要だからと決めつけ、思い込んで、そうするべき理由を作り上げて食べてしまっています。

家でちゃんと晩御飯は食べられるし、そもそもダイエット中に無駄なお菓子はNGとはわかっているはずなのに、なぜか食べたいという感情のために「今日は頑張ったし、糖分も取らなきゃ」という謎の理由をつけて食べてしまう、これこそが感情によってときに不合理な理由をつけた行動をとる例です。この応用がスーパーなどでも利用されています。スーパーが野菜コーナーから始まるのは、最初に体にいいものを買い、その後お菓子コーナーなどで「体にいいもの買ったし、ちょっとくらいいいよね」と思わせて買ってくれるのを狙っています。

日常をそういう目で見てみると、いろんなところで不合理な行動を私たちはとってしまっています。
と、色々考えているうちに患者さんの心理も理解できます。


ホクロ2つを取りに美容クリニックを訪れた患者さんがいます。
ホクロ1つで5000円、ホクロ10個までで、30000円 とします。
10個とったら1個あたり3000円で2000円もお得です!!!!
お得!!!とホクロを頑張って10個探し出してる患者さん。
よく考えたら、2つ取りたいので普通に2個取れば10000円なのに、10個だと30000円と予定より20000円も多く払ってしまう、そんな患者さんもいます。
これはお得なことを逃したくない感情が動いてしまっています。
クリニック側としては、その心理を悪用してやろうという気持ちでその値段設定にしてるわけではなく、10個とる労力やコストが、1個10ではないので安くしてあげようという気持ちもあると思います。少なくとも私の周りは必要以上の治療は勧めないし、必要ないことは必要ないと言っているドクターしかいません。

こういう心理を理解すると、患者さんの悩みを理解し、そして患者さんがベストな選択をできるように提案することができます。
例えば、「他院で失敗したヒアルロン酸を溶かして欲しい」と来られる患者さんがいます。しかし、客観的に見て全く変な形ではなく、失敗していない状況だったとします。おそらくドクターやクリニックとの相性が合わなかったり治療方針の説明が足りなかったりで、治療そのものが嫌になったり失敗と思ってしまったのでしょう。

合理的に考えると、明らかな失敗ではないヒアルロン酸は活用していくべきで、溶かす必要はありません。しかし、もうあのドクターに会いたくない、また失敗されるかもという感情で、良いも悪いも関係なく全部溶かしたい、と不合理な選択をしようとします。
そこで私はしっかり説明した上でこんな提案をします。
①本当に嫌な形、結果かどうか落ち着いて考える
②いずれ解けるのでもう少し様子をみる
③失敗ではないことを理解しつつも溶かす
④今あるヒアルロン酸を活かし、足りない治療を加えて整える
きちんと説明し、情報を整理して患者さんが冷静に考えられることによって、その人にとってベストな選択ができます。その結果、当院では何もせずに帰られる方もいます。しかしそれでいいんです。患者さんが不合理な選択をすることを思いとどまり、たとえ溶かすにしても冷静に合理的に判断し、適切な医療に出会えることがお互いにとっての幸せかなと思います。
それが私の考えです。


何が言いたかったというと、経済であっても医療であっても、人が関わり、ユーザーが人である以上、心理的な要素が選択行動に影響するのですが、私は医療のプロとして患者さんに接したいということです。医学という学問をベースに、感情は理解しつつも冷静に、客観的に状況を分析して判断する、それがまずは医師という専門家に求められることではないかと思います。


最後に、
途中でやめずに最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
このブログを読むことが不合理な行動となっていないと良いなと願ってますw

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