注入治療に対する不安をなくすために

先日、縁あって、一般向けの美容イベントで登壇する機会をいただきました。
普段は医療関係者の前で話すことの多い私なので、いつもと違う参加者や空間で話す内容を何にしよう?とものすごく考えていたんですが、そんなとき、イベントの代表より「是非、ヒアルロン酸治療を受けるにあたって不安に思っていることを解決するような内容にしてほしい」とリクエストがありました。
結局そのイベントでは話す時間が30分だったので、「ヒアルロン酸治療で違和感のあるお顔、いわゆるヒアルロン酸顔にならないコツ」を中心に話をさせていただいたのですが、最後の質問タイムではたくさんの注入治療の質問をいただき、その多くは不安からくる質問で改めて、患者さんは多くの不安を抱えているということを認識しました。
不安と言っても色々あります。
「変な顔にならないかな?」「値段は?」「どれくらい持つの?」「顔に入れて大丈夫?」「どんな治療?」「そもそもヒアルロン酸ってなに?」「安全?」「合併症などのリスクは?」

それらの不安を全部なくすことはできなくても、減らす方法はあると思っています。

私たち医師ができることは大きく2つあります。

1つ目は、不安が少しでも解消できるようにカウンセリングでしっかりお話をすること。
例えば、「変なお顔にならないですか?」と不安に思っている患者さんに「なりませんよ」と答えるのでは、不安はなくなりません。「ホントに大丈夫?」とさらに不安に思わせるだけです。変な顔にならないということをあの手この手で伝えます。「この治療は骨格を元に戻すだけなので、顔を変えるわけではないので、変な顔にはならない」とか、「私もこの治療をしています。変なお顔になっているでしょうか?」と自分の顔を見せたり、患者さんの顔を実際に使って治療後のお顔のシュミレーションをしてみたり、、、、
例えば、「合併症などのリスクは?」と不安に思っている患者さんは少なくないと思いますが、そんな患者さんにはどんなリスクがあるだけでなく、起きる場合はいつくらいにどんな症状が出るのか、どんな経過になるのか、起きた場合の対応は何をするのかなどまでお話しします。
我々が当たり前と思っていることでも患者さんは知らないことはいっぱいあります。知らないことには不安を感じるのは当たり前です。
患者さんがどんな不安を抱えているかを見抜き、解消するためにしっかり話をします。


2つ目は常に技術を磨き、知識をアップデートし続けること。
例えば、「変なお顔になってしまう」のは医師のバランスを診る目が足りなかったり、カウンセリング技術が足りなかったりが大きく関係してきます。手技についつい目がいってしまいがちですが、カウンセリングや顔を診る目などの技術もしっかり磨く必要があります。
他にも、「合併症」に対してであれば、まず「塞栓」は、できる限り塞栓を起こさない技術と知識が必要です。塞栓は針を刺す以上リスク0にすることはできませんが、ドクターによってのリスクの差はかなりあると思います。また、合併症が起きてしまった時の対処方法を知っているか知らないか、準備をしているかどうかでもレスキューできるかの差は大きいです。たった0.1ccのヒアルロン酸が詰まったとして、どれくらいのヒアルロニダーゼが必要かを知っているか知っていないかでも大きな差が出てきます。想像以上の量を使います。
そして、昨今注目されている「遅発性有害事象」については特に原因や病態がまだしっかりわかっていないので知識をアップデートしつつ、要因の決めつけをせずに色々な可能性を考慮する必要があります。また、起きてしまった場合の治療についても確立されていないので、症状によって毎度最善の治療を考えなければいけません。


1つ目も2つ目も患者さんの不安を少しでも減らすためにやるべきことではありますが、1人で全てをやるにはかなり大変です。仲間と頑張れば1人で勉強するより辛くなし、もっと成長できます。
東海では同じ考えを持ったドクターが定期的に集まる会を行なっています。誰かが教えるというよりはみんなで知識や経験を持ち寄るといった会です。1人の患者さんの不安をみんなで解決していく素敵な会であり、ものすごくありがたく感じております。

ヒアルロン酸注入治療は魅力的な治療です。しかし魔法ではなく、医療なのでリスクはもちろんあります。そこを理解した上で、少しでもやってよかったと思う患者さんが増えるといいなと思っています。


2024年もあと2週間を切りました。
2024年は勉強させていただく機会がいっぱいあり、この恵まれた環境に幸せを感じつつ感謝しています。
またこの1年は自分を成長する機会もいっぱいいただき、大変ではありましたが自分自身でも成長を感じた部分は多くありました。
常に成長し続け、2025年もさらにパワーアップした私でありたいなと思います。

最後に写真を‥
1枚目:一般向け美容イベント(beauty GALA)で登壇させていただいた時の写真
2枚目;5時間にも及ぶカウンセリングセミナーをやり切って安堵の顔の写真
3枚目;いつも知識と経験を共有する東海地方の先生方との写真(いい顔してる)

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