筋肉の複雑な動きと、あなたに最適な注入治療の見極め方

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おはようございます。だんだんと寒くなってきましたね。 先日の配信では、筋肉の動きについて少し専門的で複雑なお話をしました。今日はその補足と、皆様からいただいたご質問にお答えしていきたいと思います。

 

1. 筋肉は「3D」で複雑に動いている

まず、顔の筋肉について大切なポイントをおさらいしましょう。 解剖学の本などでは、「〇〇筋は上に引き上げる」「〇〇筋は下に下げる」といった具合に、筋肉の役割が単純に分類されています。しかし実際の人間の顔において、筋肉はもっと立体的に、そして複雑に動いています。

例えば、筋肉を一本のゴム紐としてイメージしてみてください。 通常、筋肉は骨にくっついている「起始部」に向かって縮むことで動きます。しかし、もしその中間に何かが引っかかるポイントがあったり、横方向に引っ張る力が加わったりしたらどうでしょうか? 単純に縮むだけでなく、横にずれたり、場合によっては逆に伸びるような動きをすることさえあります。

 

「口角ボトックス」の真実

よくネット上の情報では、「口角を下げる筋肉(口角下制筋)をボトックスで緩めれば、引き上げる筋肉(挙筋)が勝って口角が上がる」と説明されています。 しかし、実際に治療をしていると、必ずしも全員がそうなるわけではありません。

なぜなら、私たちは常に筋肉を引っ張り合って表情を作っているわけではないからです。力を抜いている時の口角の位置や、個々人の筋肉の複雑なクセ、立体的な構造を物理的に解析しなければ、本当に美しい結果は出せません。 単に教科書通りの場所に打つのではなく、その方の筋肉の動きを精密にコントロールすることが、ボトックス治療の効果を高める鍵となります。

 

2. 患者様からのご質問

Q1.ほうれい線にはヒアルロン酸が効きますか? 流行りの糸(ポニョリン等)やCGスタイラーはどうですか?

原因によります。

ほうれい線ができる原因は主に「たるみ」と「くぼみ」です。この2つが原因であれば、ヒアルロン酸でくぼみを持ち上げたり、リフトアップさせたりすることで大きく改善できます。しかし、「たるみ」や「くぼみ」ではなく、ほうれい線の上に「脂肪」が乗っかって厚みが出ている場合、ヒアルロン酸を入れるとかえって膨らみが強調されてしまうことがあります。その場合は、脂肪を減らす治療など、別の選択肢を考える必要があります。

また、新しい製剤や流行りの糸についてですが、私自身が使用していないものについては評価を控えさせていただきます。ただ一つ言えるのは、「新しい治療=最良」とは限らないということです。数年、数十年経ってリスクや効果が確立された治療の方が、安心して受けていただけるのではないかと私は考えています。

ほうれい線を消すことだけに固執せず、目元のたるみなどお顔全体のバランスを見て、違和感のない若返りを目指すことが大切です。

 

Q2.ヒアルロン酸は癌を促進すると聞きました。悪性黒色腫(メラノーマ)の既往があり心配です。

現時点で、ヒアルロン酸が癌を促進するというデータはありません。

医学的に「絶対にない」と言い切ることは難しいですが(将来的に新たな事実が判明する可能性がゼロではないため)、ヒアルロン酸は何十年もの歴史がある治療法です。これまでの長い歴史の中で、癌のリスクを高めるというデータはあるものの結論は出ていません。 論文の一データと医学的な結論は別にして考える必要があります。例えば、アルコールは1滴からでも癌のリスクになるという学術的な考えがありますが、逆に考えると飲酒している全ての人が癌になっているわけではありませんし現実的には多くの人が飲酒しています。ヒアルロン酸も、分子量の違いによる炎症反応の研究などはありますが、臨床的に癌を増やすという事実は確認されていませんので、過度に心配される必要はないかと思います。ただし、将来的に今の医学的情報が覆されることもあり得ますので、良いことも悪いことも未来永劫可能性はゼロとは言い切れません。

 

Q3.クマ取りの手術をするなら、入っているヒアルロン酸を溶かさないとダメですか?

手術を担当する執刀医の方針によります。

ヒアルロン酸が入っていると本来のクマの状態がわからなくなるため、一度溶かしてから正確に手術をしたいと考える先生もいれば、経験的に入ったままでも調整できるという先生もいます。 もし手術を検討されているのであれば、手術をお願いしたいドクター、クリニックに相談すると良いですし、目の下へのヒアルロン酸注入は一旦控え、他の部位の治療に留めておくのも一つの戦略です。

 

3.ヒアルロン酸は意外と「長持ち」する

最後に、ヒアルロン酸の持続期間についてです。 最近のエコー検査や生検などのデータから、良質なヒアルロン酸は、かつて考えられていたよりも長く体内に残ることがわかってきました。 数年前に注入したものが、まだしっかりと形を保っているケースも珍しくありません。

メリット

長持ちするので、コストパフォーマンスが良いです。

デメリット

「減った気がする」とご自身の感覚だけで次々と足してしまうと、実はまだ残っているヒアルロン酸の上に積み重なり、お顔がどんどん大きくなったりバランスが崩れたりするリスクがあります。 見慣れてくると「もっと入れたい」と思いがちですが、客観的なバランスを見極めることが非常に重要です。

まとめ

筋肉は複雑に動いており、お顔の悩みも原因は人それぞれです。 「ほうれい線にはコレ」「口角にはコレ」と決めつけるのではなく、解剖学的な根拠に基づき、全体的なバランスを整える治療こそが、自然で美しい結果を生み出します。

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