たれ目院長ブログ 〜努力に勝る才能はない…?〜

以前からですが最近は、特に若いドクターやこれから注入治療を始めたいというドクターに、とにかく勉強しなさいと私はよく言います。そう、勉強が大事なんです。人から教わることも大事ですが、自分で本を開いて読み、論文を読み解いて上級者の考えや経験を文字通り勉強することが大事なんです。

名古屋に注入治療専門クリニックが無いせいか、ラベールさんは他にライバルいなくて良かったね、場所が良くて良いね、と言ってくださることが多いです。それはありがたいことではあるのですが、実はそれらのメリットはほぼ現実的なメリットにはなっておりません。振り返って思うことは、とにかく学び、研究し、努力したなということ。

クリニック開業当初は全然予約も入らなかったので暇でした。とにかく時間だけはあったので、ひたすら本を読み、セミナーに出向き、注入治療の動画を何度も何度も繰り返して見て、モデル患者様の顔を借りて技術を洗練させていきました。何が言いたいかと言うと、もうひたすら勉強し、研究を重ねたのです。場所が良くて認知された、たまたま地域で初めての専門クリニックを名乗ったから良かった、という浅い言葉ではとうてい足りないほど深く努力したのです。

別にそのことを誇りたいわけでもなく認めて欲しいわけでもありません。他人からはその努力は見えませんし、そもそも興味を持って知識を技術を深めている時間は自分にとって楽しい時間であり、苦しい気持ちはなく、大変な思いをして努力をしているなんて自覚はありません。振り返ってみるとあの時に夢中で頑張っていたことがいわゆる努力だったんだなぁと考えるだけです。

最近、努力することについて考えさせられるというか、反省することがあって、それらのことを考える機会がありました。

今年、私の姪っ子が高校受験で第一志望に合格しました。まるで我が子のことのように嬉しくてお祝いしに行き、久しぶりに色々と話をしました。そもそも姪は日頃からコツコツと勉強していて学校での成績も良く、勉強すること自体をあまり苦にしてなさそうな雰囲気でした。それを見聞きしていて、勉強嫌いだった私や兄弟とは違って優秀だなあ、賢いんだなと思ってました。

しかし、受験が終わって姪の口から出た言葉は表面的なことしか見ていなかった私の印象とは違うもので、受験までずっとプレッシャーを感じて頑張った、合格したいと思ってすごい勉強した、落ちるかもしれない恐怖と戦って努力した、という言葉でした。そして、ようやく受験が終わってホッとできた、と。

それを聞いて、この子は私と違って頭が良くて勉強が好きなんだな、と表面的なことで決めつけていた私が間違っていたことを深く反省しました。それと同時に、まだ15歳という年齢であっても、はっきり頑張ったと言えるくらい努力していたんだ、才能に頼っていたのではなくちゃんと努力が実ったんだ、と思うと、泣きそうなくらい嬉しくて感動しました。姪の手前、嬉し涙とはいえ急に涙するのも変なおじさんになりそうなので我慢しましたがちょっと潤んでいたかも。

日頃から努力は才能に勝る、と言っていた私ですが、姪の努力を見極められずに才能の一言で表し、見えないところで頑張っていた努力、その根性と気持ちをわかってあげられなかったことを悔やんで反省しました。なんてバカなことをしてしまっていたんだろう。人の努力をわかってあげられなかったのは自分の努力が足りないせいか、頑張ることをサボってしまってるためか、などと色々考えました。そして、努力の実った結果は大変美しいことも改めて認識しました。

たれ目院長ブログ 〜努力か才能か?努力できるのも才能??人の限界は何で決まるか〜

上記の記事は、才能と努力について過去に書いたブログです。姪のことで反省して読み直してみました(笑)

こんなことを書いておきながら姪の努力をちゃんとみていなかったおじさんは本当ダメです。

ただし、努力だけでは足りない何かがあるのも事実で、それを否定はしません。その何かは、才能であったりフィジカルであったりタイミングや人、環境、それこそ運であったりします。私の身長でも頑張ればダンクシュートはできますが、同じくらい努力するような身長が2メートルを超える人と勝負しても高さでは勝てないでしょうし、逆にジョッキーやボートレースでは身長が大き過ぎてこれまたできないでしょう。

単純に身長だけとってみても努力だけでは足りないモノは存在します。そこに他の要素も加えていくと、「努力だけでは叶えられない、でも努力しなければ叶えられない」という、以前のブログで書いた禅問答のような言葉につながってきます。

注入治療においては、努力イコール勉強であり、解剖を学び、手技を学び理論を学び、それを磨いて磨いてさらにまた必要なことをインプットし、それをアウトプットしながらまた学び…、をひたすら繰り返していきます。

その際、クリニックの方針が異なる、といった環境の壁もありますが、これはまだ努力でなんとかできる範囲。自分で自分のやりたい治療、信じる治療をできる環境にすべく頑張ることもまた必要なのです。待っているだけでは足りないというか、チャンスが来た時にはもう遅いということになりかねません。そのチャンスを掴み取りにいく、わずかなチャンスを掴めるのも日頃からの努力が影響します。網を持って構えていないと魚が跳ねた瞬間にすくうことはできません。しかし、努力してると言いながら網を置いて待っている人、なんらかの理由をつけて網を持たない人、意外と多い印象です。

どんな世界でも活躍している人はすべからく努力しています。運や環境だけに頼らずに。ただ、努力している人ほどそれを人に苦労として見せないので、他人から見たら労せずできるようにも見えちゃいます。そして面白いことに、努力している人ほど足りないモノを他のせいにしないで自分の中に見出し、努力が足りない人ほど環境や運など他者のせいにする傾向が少しあるかなと思います。

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