たれ目院長ブログ ~ヒアルロン酸注入治療の怖い副作用~

先日のブログで少し言及したヒアルロン酸治療の副作用のうち、最も起こりやすいが軽いものとして皮下出血があると言いました。皮下出血は針を皮膚に刺す以上どうしても避けられず、数%の割合で発生してしまいますが、約1週間ほどで出血のあとは改善していきます。逆にめったには発生しないが起こると怖いものとして血流を阻害してしまう動脈塞栓があります。

怖い話は誰しも嫌なもので、患者様だけでなく我々ドクターも目を背けたいところですが、ヒアルロン酸注入治療に関わる場合には無視するわけにはいきません。ヒアルロン酸はゼリー状の素材であり、それが血管内に入ってしまうと血流を悪くし、最悪の場合塞栓と言って血管を詰まらせてしまいます。静脈は網の目のように細かく走行しているので一部が詰まったとしても大きな問題とはなりませんが、動脈が詰まってしまうとその先の血流が悪くなり、酸素や栄養が届かなくなります。

例えいいかげんに注射をしたとしても簡単には動脈内にヒアルロン酸が入ることはないのでまずはそこまで不安になる必要はありません。また、顔の表面の動脈は脳の中へはつながっていないので、いわゆる脳梗塞といった命に関わる病気にもなりません。ただ、顔の表面の動脈は皮膚へ栄養を届けているため、血管が詰まると関連する皮膚が壊死する危険性があります。壊死しかかっても血流が再開して治ることもありますが、改善しないと皮膚移植まで必要となることもあります。

そして最も怖いのは、顔の表面の動脈は一部眼の動脈とつながっている部分があり、そこにヒアルロン酸が流れ込むと視力が低下したり失明することがあること。これは確率としては非常に少ないのですが、世界規模で見るとまれに発生してしまっています。

私は注入治療専門として診療しており、ナチュラルな仕上がりを信条としていますが同時に安全な注入治療というのも追求しています。個人的に医療事故の症例を調べていると、失明までいかないにしてもなんらかの血流障害やトラブルを起こすのは特定のドクターが繰り返していたり、技術的に未熟である場合、もしくは油断している場合が多いように思います。

医療行為という性質上、100%絶対に問題のない方法というのはありませんので、どれだけリスクを回避して100%の安全に近付けるかが鍵となります。そのためにできることを一つ一つ積み上げていく必要があります。最も怖い合併症である血管塞栓を回避するためには、

1.施術者が解剖を熟知し、動脈の位置を正確に把握する

2.穿刺した後に吸引して逆血を確認する

3.ゆっくりと微量ずつ注入する

4.皮膚色を観察する

5.血管痛を確認する

6.注入部位のヒアルロン酸の広まりを確認する

7.視野を確認する

8.万が一塞栓の様子が見られたら躊躇なくヒアルロニダーゼで溶解する

といった作業を同時並行で考えながら処置することが重要と考えます。これだけ気をつけていても完璧はなく、かと言って少しでも欠けていればその分リスクが上がります。この中で特に重要なのは意外にも3のゆっくりとした注入で、逆に塞栓事故を起こした状況を聞くとこれが守られていなかったこともあるようです。ゆっくりと微量ずつ注入すれば万が一の際にすぐに止めれば被害を最小限に抑えることができ、注入圧を高めないことでそもそも血管内への圧入のリスクも下げることができます。

もっとも、これらの注意は施術者であるドクターがすべきことであり、治療が始まってしまえば患者様側でできることはありません。依頼したドクターがどれだけの技量、知識、経験があり、どれだけ油断なく注意して施術しているかに委ねられてしまいます。つまり、患者様にとって最も怖い合併症を回避するためにできることは、技術がありながらも安全な施術に気を使うドクター、またはクリニックを選ぶこと。それがほとんど全てであり、クリニックやドクターを選んだ時点で患者様ができる最大限のリスク回避法は完了しています。

どれが本当なのかわからないくらい色んな情報に溢れている現状では、正しいクリニック、ドクターを選ぶというのは難しい作業だと思いますが、そこはあまり疎かにせず、しっかりと見て聞いて判断することが大事だと思います。注入治療に情熱を持って取り組んでいるドクターは必ずいますので。以上、ちょっと話し難いけど大事な副作用について考えてみました。

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