注入治療って簡単な手技だと思われている方が多い気がします。
SNSで、ドクター(と思われる方)が、「とりあえずヒアルロン酸やボトックスくらいは手技覚えたいなー」と書いてあるのをみて、「くらいってなんやねん。そんな気持ちでやって欲しくないわ」と思ってしまったこともあります。
一見、注射でチューーー〜っとやってるだけに見えてしまうから、簡単そう!と思われるんですかね?🤔
まぁ、私の愚痴は置いといて、、、、
ドクターであってもそう思っている方は少なくないので、患者さんがそう思ってしまうのもおかしくありません。
簡単だ、誰でもできる手技と思われると、「じゃあ、値段が安い方がいいじゃん」とドクターで選ばずに値段で選ぶ人が増えてしまうのはよくないなーと。
(もちろん技術も考え方もすごい先生なのになぜか安くで施術をしている先生もいます。)
では何が難しいのか。
今回はそこに触れていこうかなと。
まず、注入治療はオペと違い、注入する内部の場所が外から見えません。人によって顔の構造は全然違います。顔の内部が見えないまま指先の感覚や動きなどでイメージしながら注入します。
ヒアルロン酸が血管内に入ってしまうと塞栓という重大な合併症を起こしてしまいます。なので血管内は絶対に入れてはいけません。
この辺には重要な血管があるということをあらかじめ頭で意識するかしないかでもリスク変わってきます。
注入する前に実際に触って、血管の位置を確認します。
注入直前には陰圧をかけて血管内に入っていないか確認します。
注入中も皮膚の色味の変化はないか(血管内に入ってしまっていたら、皮膚の微妙な色味の変化が見られます)、きちんと注入した分だけ膨らんできているかを確認します。
注入後も色味の変化や痛みの増悪などがないかを確認します。
といったふうに、簡単にちゅっと刺してチューーーーーと入れているように見えますが、塞栓のリスクを減らすためにいろんなことをして、いろんなことを考えています。
また、ヒアルロン酸治療の場合、使える本数が患者さんによって違います。
限られた量をどこにどう入れれば、今回の治療のベストに持っていけるかを常に考えています。
同じ年齢であっても同じ場所への必要本数は全然違います。
例えば、痩せた場所に限られたヒアルロン酸で注入する際、
ハリのある肌であれば、図のように2点で間の部分が持ち上がったりします。
逆に年齢が上などでハリがなくなった肌では2点では間が落ち込んでしまいます。
他にもハリはあるが、間の皮膚などの張り付きが強い場合は2点では持ち上がらないので、その張り付き部分にも必要になってきます。
もう1つくらいこだわりを挙げておくと、、、w
例えば、顎にヒアルロン酸を入れてほしいと言われる患者さんが来たとします。
顎ヒアル目的で来られた患者さんでもいろんなパターンがあります。
ただただ顎が小さいから顎が欲しい患者さんもいれば、輪郭をシュッとしたいから顎が欲しい患者さん、口が前にでているから顎にヒアルロン酸を入れたら気にならなくなるんじゃないかと考える患者さん、、、、、、などなど
なので、患者さんによって同じ要望でも違うアセスメントができます。
ただただ顎が小さい患者さんであっても、顎だけにヒアルロン酸を入れるとバランスを崩してしまう可能性もあります。頬パンパンで顎だけしゅっだったり、無表情の時はまあいいけど、笑った時に顎だけポコんと出るなんて変ですよね?
この患者さんには3本を使い、顎をメインにバランスよく治療した例です。
顎を前に出す分、頬も少しバランスを合わせる必要が出てくるし、顎は1点ではなく、きちんと繋がるように注入する必要があると私は考えます。
と、一見簡単にやってそうに見えるかもしれませんが、めちゃめちゃ色んなことを考えてやっているんですよ、実はというお話でした。
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